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常説法教化 ‐ 本休寺 住職 岩田親靜さん(千葉県千葉市緑区)

2018.04.20

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書:寧月

現代の世の中を、軽やかに、そして力強く生きていく上でのヒントとなるような「ことば」をお坊さんにご紹介いただくこの連載。第9回目にご登場くださったのは、千葉市緑区の日蓮宗・本休寺住職の岩田親靜さんです。

今回、岩田さんが選ばれたのは、法華経の中に出てくる「常説法教化(じょうせっぽうきょうけ)」ということばでした。ご自身のことを「不器用で、あちこちにぶつかりながら生きている人間」とおっしゃる岩田さん。今回のことばも、岩田さんがご自身の人生の中で何度も何度もその意味を問い直した上で、「現時点では、このように理解しています」という地点から、とても誠実にご解説くださいました。

書家の寧月さんのうつくしい作品とともに、ぜひ、じっくり味わってくださいませ。

「お釈迦さまはいまも生きている」と言われても……

岩田親靜(いわた しんじょう)

1972年生まれ 二松学舎大学文学部中国文学科卒業 立正大学大学院博士課程満期退学 2008年 本休寺住職に就任。日蓮宗声明師。現代宗教研究所研究員。

Iwata shinjyouのブログ

まいてら読者のみなさん、はじめまして。千葉市緑区の日蓮宗・本休寺住職の岩田親靜と申します。今回は、法華経如来寿量品第十六に出てくる「常説法教化(じょうせっぽうきょうけ)」ということばについて、私なりに解釈してみようと思います。

このことばは、「歴史上のお釈迦さまは仮に亡くなった姿を見せているが、本当は常に私たちのそばにいて、法を説き続けてくださっている」といった意味です。しかし、私としては、2500年前に80歳でお亡くなりになったと言われている方が、いまなお生きて、私たちに声を届けているという話を現代人に話してもなかなか納得してもらえないだろう。自分がもし説明を受ける立場ならやはり首を縦に振らないだろうと思うのです。

亡くなるということがすべてではない

では、どのようにこのことばを説明したら良いのか。私は、現時点では、お釈迦さまに限らず、これまでに亡くなった方は、さまざまなかたちで、いま生きている我々の身の上にはたらきかけ続けている。だから、亡くなるということがすべてではない、と。このようにお話をしています。

亡くなったら、当然、その方の肉体は消えてしまいます。しかし、その方の思いや生き方というのは、どのようなかたちであれ、残された方々に確実に引き継がれて、決して消えることはないのです。ご縁は確実につながっていきます。素晴らしい生き方をされた方は、そのまま、あるべき人間像のお手本として、生者のこころの中で生き続けるでしょう。逆に、あまり人に褒められるような人生を送ることができなかった方でも、反面教師として、残された方々の生き方に影響を与え続けるでしょう。そういう意味で、死者はほんとうの意味では消えることはないと言えるのではないでしょうか。

自分に嘘はつかないように

私は、お葬式やご法事の際にお経をよむとき、なるべくそこにはどのようなことが書いてあるのか、参列者に向けて、簡単に解説をさせていただいています。その際、自分に嘘があってはいけない。自分の腑に落ちていないことを、みなさんにお伝えするわけにはいかないと、そこに関しては、自身を厳しく戒めています。もちろん、私もまだまだ修行中の身ですので、なににおいても、絶対的に正しい解釈のようなものをお伝えすることはできません。しかし、せめて、自己矛盾がないように、現時点での自分のベストを尽くす努力をすることだけは怠らないようにしたいとは思っています。

今回解釈した「常説法教化」をはじめとして、仏教のことばには、非常に難解で、即座にその意味を理解することのできないものが数多くあります。しかし、理解できないからと言って諦めてしまうのではなく、ことあるごとに、その意味を、自分の人生の中で問い直し続けていく。そういう僧侶でありたいし、人間でありたいと願っています。

お寺画像
千葉県千葉市緑区
薬王山 本休寺
絆をはぐくむ 楽しいお寺

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小出遥子

小出遥子

1984年生まれ。新潟県出身。早稲田大学第一文学部日本文学専修卒業。編集プロダクション、美術系専門図書館勤務を経て、現在はフリーランスの編集者・文筆家として、仏教系テキストを中心とした編集・執筆活動を行っている。いのちからはじまる対話の場「Temple」主宰。

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