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十如是 ‐ 本休寺 住職 岩田親靜さん(千葉県千葉市)

2020.01.21

 前回に続き、日蓮にちれん 本休寺ほんきゆうじ (千葉県千葉市)住職・岩田親靜しんじよう さんが選んだのは「十如是じゆうによぜ 」。法華経ほけきよう では数少ない、「悟りの本質」を示すことばだそうです。

岩田親靜しんじよう

1972年生まれ 二松学舎大学文学部中国文学科卒業 立正大学大学院博士課程満期退学 2008年 本休寺住職に就任。日蓮宗声明師。現代宗教研究所研究員。

本休寺のページ

ブッダは世界をどのように見ているのか?

 われわれ日蓮宗の教えは、『妙法蓮華経 みようほうれんげきよう 』(法華経)に っています。法華経は菩薩ぼさつ としてのおこないを重視していて、悟りの本質を示すところは少ないです。その数少ない悟りの本質に触れている部分が、「十如是」です。

「十如是」は、簡単に言うと「成仏した人物=ブッダは、世界をどのように見ているのか?」ということを示しています。
 ここでは、ものごとを、相(外観)、性(性質)、体(本体)、力(能力)、作(作用)、因(直接的原因)、縁(間接的原因)、果(結果)、報(果によって生じる影響)そして本末究竟等ほんまつくきようとう (本と末、「相」から「報」までが関連していること)という、10個の如是(かくのごとき)ことがらとしてあらわします。

 われわれはどうしても自分の都合でものを見てしまうので、ありのままにものごとを認識することが困難です。ものごとの一つの面、方向にとらわれてしまい、正しく見ることは簡単ではありません。
 それゆえに、仏教では涅槃ねはん にいたるための8つの徳目すなわち「八正道はつしようどう 」の最初に、ものごとをありのままに見る「正見 しようけん 」を えています。その正見の、具体的な姿を描いたのが「十如是」というわけです。

 この十如是のなかでも異質であり、特に注目すべきは、関連を説く「如是本末究竟等」でしょう。
『生物と無生物のあいだ』で知られる分子生物学者の福岡伸一氏は、著書『世界は分けてもわからない』のなかで「この世界のあらゆる要素は、互いに連関し、すべてが一対多の関係でつながりあっている。つまり世界に部分はない」と書いています。ものごとを分析して見ながらも、もう一度全体として見ることが必要であることを、現代の分子生物学者も指摘しているのです。

 ちなみに、そもそも『妙法蓮華経』の発生はインドで、サンスクリット語で書かれていました。それを中国で漢訳したものが、現在われわれの読んでいる『妙法蓮華経』です。
 実はインドの原典には「十如是」という記述はなく、ものごとを5つ(「なにであり、どのようにあり、どのようなものであり、どのような特徴をもち、どのような固有な性質をもつのか」)に分析していました。この分析を、訳者が9つに増やし、最後に統合(本末究竟等)を示したのです。訳者の仏教理解が強く反映されているわけですが、昔からこの『妙法蓮華経』が名訳として親しまれ、今にまで読み継がれています。

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まいてら登録寺院のお坊さんを総称して「まいてら住職」と言います。まいてら新聞では、それぞれのお寺の魅力を発信したり、皆さんの疑問・お悩みにどんどんと応えていきます。

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