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倉島隆行さん(全日本仏教青年会理事長)に聞く - 第20回WFBY世界仏教徒青年会議日本大会@總持寺(11/10)への思い

2018.10.06

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全日本仏教青年会は、各宗派の青年会が加盟し、つながりのある寺院は全国に2万ヶ寺を数えます。
2018年11月に、全世界の仏教徒が集まる大会(以下:世界大会)が日本で開かれます。10日(土)には神奈川県・鶴見にある曹洞宗大本山總持寺で、音楽・スポーツ・アート等とコラボした様々な仏教イベントが開かれます。

(イベントの詳細はこちら)

今回、イベントを主催する全日本仏教青年会の倉島隆行理事長に、意気込みをおうかがいしました。

- 世界大会の開催まであと一ヶ月と迫ってきましたが、今お感じになられている思いはどのようなものですか?

世界大会まであとわずかとなり、ご縁のありがたさを痛感しています。仏教ではご縁を大切にしますが、現世だけでなく、過去からの歴史的なご縁を、今回は様々な場面で痛感しながら大会をつくりあげてきました。この大会は多くの力が結集されて、みなさんと一緒に創り上げてきたものと感じています。

例えば、巨大なアニメ看板は、今回協賛をいただいた東京アニメーター学院様からご縁をいただき、その卒業生の一人にデザインしていただいたものです。日本の文化でもあるアニメを仏教と融合することで、世界に発信できるコンテンツになります。

お寺が監修しすぎると、世の中には伝わりにくい内容になってしまいます。お坊さんが「こうして、ああして」と価値観を押し付けるのではなく、若い才能ある人に干渉せずに作ってもらったのが良かったと思います。

- 大会の一つの象徴でもある、岩山義重氏の散華額があります。初めて見た時に、何とも言えない様々な感情が湧いてきて、とても不思議な気持ちになりました。

最初は、エッ?と思いました(笑) ラフ案を見た時に、事務局長が描いたと思いこんで、「世界大会が迫ったこの大変な時期に、ふざけるな、と。ギャグは止めてくれ」と言ってしまいました。

岩山氏のラフ案

しかし、岩山先生にお願いしたのはアートです。アーティストは天から降りてくるものがあると思います。先生を焦らせたり、要望を言ったりすることをグッと耐えました。チラシにも早く反映したいと焦りましたが、何かが天から岩山先生に降りてくるご縁を待ちました。宗教とアートは「降りてくる」という点で共通するものがあります。そうであれば、宗教者として、自分もその時を待たねばならないと。

岩山先生には、本年の4月に東大寺で行なった千僧法要にお越しいただき、私たちの活動をしっかりご覧いただいた。そして、以降は岩山先生と一切会話をせず、全てお任せしました。お願いしているのはアートの領域なのに、アーティストである先生に対して、釈迦に説法をやっても仕方ありません。岩山先生という人間を信頼し、お任せしました。

岩山先生からいただいた最終デザインを見て、100%不安を感じるものではないし、かと言って100%素晴らしいという単純なものでもない気がしています。全て単純で分かりやすいものが求められる現代において、分かりやすいものはアートにならないと思います。

良いアートには揺らぎがあります。実際、自分も散華額を見た時の感じ方が、日々揺らいでいます。一つ言えることは、50歳や80歳になってあの絵を見てみたいという気持ちが強くなっています。それだけ、あの散華額は、今のこの瞬間だけでは捉えきれない揺らぎを秘めていると思います。

- 倉島理事長は「人を信じる」ということを強調されますね

自分も若い時には色々ともがきました。そして、自分の生活が荒れている時につないでもらった人とのご縁はあまり良い形として続いていません。自分の生活環境が整っていない時は、「欲」というダイヤルの周波数で人生が回っています。

しかし、永平寺やフランスで修行させていただいて以来、坐禅を生活の根幹に置いてきています。その根幹から伸びていく枝葉には良いご縁が結ばれていくと感じます。この世界大会も、その根幹につながるご縁で開催に至ったと思います。そのご縁でつながった方々であれば、信頼するしかありません。

- 今回の世界大会で着目してほしいことはどのようなものですか?

全日本仏教青年会もそうですが、例えば『まいてら』さんも、宗派を超えた日本仏教というものがつながったチーム力ですね。日本仏教のハーモニーは世界一だと自負しています。特に青年僧侶のハーモニーは特筆すべきものがあると感じています。
その根拠は、東日本大震災という大きな災害で、私たちはノックアウトされた経験です。現場に行った時、それまでお寺の現場で教えられてきたことだけでは通用しないすさまじい「苦」の現場がありました。被災地のお寺では、数え切れない多くの檀家さんを亡くしました。

東日本大震災の経験が糧となり、その後の災害では、災害ボランティアに行く初動のスピードが速くなっています。今は闇雲に現場に突入するのではなく、冷静になっています。現地の相手の立場を冷静に考えて、今必要なものが何かということを考えられるようになっています。東日本大震災で失ったものが大きかった分、その後の経験で得たものも大きかったです。
青年僧侶が一体となった、当日の来場者への対応には、ぜひ目を向けていただきたいと思います。

世界大会ではボッチャという、障害者スポーツも行ないます。お寺はバリアフリーが進んでいないので、健常者には分からない障害が一杯あります。仏教が相手の立場に立つことを説いているのであれば、自分の目線だけが全てじゃないということを総持寺の境内で、一人ひとりが学ぶことが大切だと思います。当日に上がってくる声は、自然と總持寺にとっても良い影響があると思います。

- 世界大会以降にはどのような願いを持たれていますか?

お寺の運営も、SDGsも「持続可能性」と言っていますが、僧侶は算盤勘定する時間よりも、人々の心の救済にもっと時間を取ったほうが良いと思うのです。そのためにも、お寺の規模と、そのご縁に合わせて、お寺を運営するチームを作って運営していく。それこそが持続可能なお寺や地域社会をつくっていくことにつながると思うのです。
お寺の可能性は住職だけで開くものではありません。お寺にいる女性がもっと活動したり、檀信徒や企業がどう関わっていくかによって可能性が開かれます。

今回は様々な団体との連携を積極的に行ない、ある意味お寺の可能性を一気に広げたと思います。様々な団体との関わりを通じて、僧侶一人ひとりが多くの気づきを得て、それぞれのお寺の現場に持ち帰り、具体的なアクションにつなげてほしいです。世界大会を通じて生まれる多くの気づきは、日本仏教のこれからにとって豊かな種まきになっていると信じています。

- 本日は貴重なお話しをありがとうございました (終)

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井出悦郎

井出悦郎

1979年生まれ、東京育ち。東京大学文学部卒。人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、一般社団法人お寺の未来を創業。同社代表理事を務める

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