まいてら編集部員たちの”お寺のある”日常

まいてら編集部日記

「安心のお寺」とは、生活者視点を大切にするお寺 - 全国10,000名の生活者の声から見えたこと

2017.04.07

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『まいてら』を運営する一般社団法人お寺の未来は、昨年12月に全国の20-79歳の男女10,000名を対象に、「寺院・僧侶に関する生活者の意識調査」を実施しました。
(※調査レポートのダウンロードはこちらをクリック

お寺の未来では、寺院向け経営塾『未来の住職塾』をはじめ、これからの時代におけるお寺づくりを様々な切り口でサポートしています。
社会の変化が速い中、現状と事実を把握することがお寺づくりにも大切と考え、今回の調査を実施することにしました。
お寺や僧侶に関する一般生活者の意識調査を、この規模で行なったのは類がないのではないかと思います。

それでは、『お寺のある生活』という視点で、調査結果を見ていきましょう。

1.檀家という意識は少数派。生活者が必要に応じてお寺を選ぶ時代へ



檀家であると意識している人は3割。一方、法事・葬儀の読経を依頼するお寺がある人は5割で、両者には約2割の差があります。
お寺側は檀家だと思っていても、生活者側が檀家だと思っていない人が多いことが、この差に表れていると考えられます。

単身世帯が増えていく中で、伝統的な家族形態はこれからも変化していくでしょうから、人生の境遇の中でお寺が必要だと思った時に、生活者がその都度お寺を選ぶ時代になるかもしれません。
まさに生活者が『My 寺(=まいてら)』を選ぶ時代になると言えます。

2.日常的に仏壇に手を合わせる人は少数派。現代のライフスタイルに合った「手合せ文化」の創造が求められている

仏壇に日常的に手を合わせる人も少数派でした。一方、1年間に数回という人が4割もいました。実家と離れて暮らし、実家に帰った時は手を合わせているという方も多いということが反映していると考えられます。
手合せの習慣があるほうが優しい人に育つという調査結果もありますし、狭小化が進む現代の居住空間や単身世帯のライフスタイルに合った、これからの時代の手合せの形が求められている段階なのかもしれません。

3.お墓参りは根強い社会的習慣として存続

お墓参りをする人は全体の8割。お盆、彼岸(春秋)、年末年始などの節目がお墓参りの機会になっていると考えられ、社会習慣としてまだまだ根強いものがあります。

加えて、調査結果から見えてきた点として、20-30代の若年層においては、「うれしい報告」「悩みごと」「気持ちを落ち着ける」「何かを願う」がお墓参りの理由として挙げられる傾向が見られました。
若年層にとってお墓参りは精神安定剤の効果があると考えられ、変化が激しく先が見えないこれからの時代において、先祖や家族のお墓の有無は、若年層には大切な意味があると思われます。

また、お墓を次世代につないでいくという点では、お墓を建てている場所の経営母体の継続性が大切になります。公営、民営、お寺など、墓地の経営母体は様々ですが、長続きする経営母体かを見極めることがポイントです。
最近は公営、民営が人気ですが、数百年間続いてきたお寺の墓地と比べれば、歴史は浅いです。継続性という点ではお寺の墓地の安心感は高いと考えられます。

4.伝統的な葬儀形態は今後も変化


葬儀は故人の遺志が最も重んじられる結果となりました。ひと昔前までは伝統的なしきたりや、家族の論理が、葬儀の形に大きく影響を及ぼしましたが、伝統へのこだわりが減ることで、葬儀の形はこれからもさらに変化していくかもしれません。

そのような時代の中でも、経済面を考慮しながら、現代人のセンスや要望と、伝統のバランスを上手に工夫できるお寺は、これからもきっと求められていくはずです。まいてら登録寺院はまさにそのようなバランス感覚を持つお寺ばかりですので、生活者のお困りごとや要望には親身に相談に乗ってくれると思います。

5.死後の様々な事務手続きを、生前に決めたい人が多数


死後に発生する様々な事務手続きを、生前にあらかじめ決めておきたい人は6割超でした。死後の事務手続きを家族や近親者が引き受けてきたのが伝統的な形でしたが、生活者の潜在意識は現在「自己決定」へと大きく変化し始めているのかもしれません。

そして、死にどう向き合うかという死生観を伝え続けてきたお寺は、残念ながらこのテーマにおいて適切な相談相手として認められていない現実も浮かび上がりました。
しかし、専門家を招いた終活講座を開いたり、熱心に相談に乗っているお寺も実際には少なくありませんので、『まいてら』では終活に取り組むお寺の情報をしっかり発信していきたいと思います。

6.(残念ながら)お寺と僧侶への期待は高くなかった・・・しかし、希望の光も見える

今回、私たちとして最もショックを受けたのがこのデータでした。お寺やお坊さんへの期待は約2割と、想像以上に厳しい結果でした。
あまりにもショックだったので、どこかに希望の光がないかと思い、期待の中身について回答者が記載したコメントを全て読んでいくことにしました。
コメントを全て分類してみると、次のような結果が見えてきました。

  • 期待は高くなくても、潜在的には期待したい要素が散見。特に「先祖供養」よりも「生き方」の伝達に関する期待が大きかった
  • 社会でよく批判される「坊主丸儲け」との批判は少なくないが、全体的な期待値の低さに鑑みれば、理由としては少数にとどまった
  • 全体で4割を占めた「どちらでもない」の浮遊層は、多面的に潜在的な期待理由を挙げており、仮に寺院・僧侶の実態が変化すれば、肯定的な評価に転換する可能性を秘めている

コメントを丁寧に見ていくと、このような結果が見えてきました。

「仏教の智慧に根ざした生き方の教示」等の潜在的な期待はあるものの、現状のお寺やお坊さんの実態に鑑みて、多くの一般生活者は 「現実的には期待をかけられない」という冷静な見方をしていると考えられます。

しかし、確かな信仰心を根底に置き、死者儀礼などの供養をしっかり勤め、生活者視点に立って人々の相談・話し相手となり、仏教の智慧に基づく生き方を分かりやすく伝えるという、僧侶の本分を誠実に努めれば、肯定的な期待に転化する可能性はあると思います。

7.行ってみたいお寺の催しは体験系。体験に加えて、ぜひお坊さんの人柄とも触れてほしい!

無関心層も少なくないものの、祈願・祈祷→観光→坐禅→写経→法話会の順に割合が高く、女性が男性よりも関心を示す傾向にありました。
特に、坐禅・写経・写仏・お経練習等の体験系は30代男女が最も関心を示し、年齢が上がるほど、写経・法話会・写仏などへの関心が高まる傾向が見られました。
『まいてら』では、お寺さがしや、まいてらカレンダーなどの機能を活用することで、それぞれのお寺でどのような催しが開かれているかが分かります。ぜひ、お寺の催しにご興味がある方は積極的にご活用ください。

そして、もしお寺に行ったら、ぜひ住職やお坊さんと話してみてください。なんとなくお坊さんの人柄にひかれるものがあるはずです。瞬間的ではなく、じわじわ伝わってくるお坊さんの良さは、仏教そのものの味わいでもあります。

まとめ:生活者視点を大切にすることが、「安心のお寺」につながる

今回、生活者の意識調査を通じて、色々なことが見えてきました。
お寺や仏教は専門性が高いものであるため、私たちは必ずしも生活者の意見にすべて沿うことが、良いお寺づくりにつながるとは思っていません。
しかし、長い歴史の中で、あまりにもお坊さん側の提供者視点にかたよりすぎたのが、今までのお寺のあり方だったのではないでしょうか。その点では受け手である生活者の声に、これからはもっと耳を傾けていく必要があると思います。
私たちは、お坊さんから見ても、生活者から見ても納得できる「安心のお寺」が、次世代に受け継がれていってほしいと願っています。

「この、お寺いいよね!」
「私の『My 寺(まいてら)』と出会えた!」

そんな声が世の中に増えてくることを願い、『まいてら』はこれからも生活者視点を盛り込んだ「安心のお寺」づくりをサポートしながら、安心のお寺とつながる「お寺のある生活」を、様々な切り口でより多くの生活者にご提案していきたいと思います。

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井出悦郎

井出悦郎

1979年生まれ、東京育ち。東京大学文学部卒。人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、一般社団法人お寺の未来を創業。同社代表理事を務める

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