まいてら編集部員たちの”お寺のある”日常

まいてら編集部日記

山門が教えてくれたこと ~変わらないものが変える力

2017.03.17

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山門で変化した妻の心

まいてら読者のみなさん、こんにちは。まいてら編集部の井出悦郎です。

今、住んでいる家からはお寺の山門が見えます。
山門が見える家に住んでいるのはたまたまですが、まいてらが掲げる「お寺のある生活」そのままですね。
ある平日の昼下がり、たまたま仕事を休んで家にいる妻からメッセージが来ました。

山門に訪れる人が見え、その景色を見ているだけで心が落ち着きます。

普段、私はお寺や仏教のことをあれこれ妻に話すのですが、あまり楽しい顔はしてくれません。
お寺LOVEな夫の無邪気な様子を見て、妻の内心は「はい、はい、また言ってる」という心境なのでしょう。
私がお寺や仏教のことを語るほど、妻の心はざわつき、耳が閉じていくのは皮肉です。
(※ ちなみに妻はプロテスタント系の学校で育ちました)

しかし、昨日も今日も変わらぬ山門の姿は、妻の心に変化をもたらしました。
この出来事で感じたものは、変わらないというあり方は、それと接するものを時には変える力があるという気づきでした。

山門が建てられた時期は分かりませんが、修繕を繰り返しながらゆうに100年以上は経過しているでしょう。
人間の一生よりも長い間、雨の日も風の日も、変わらずそこにたたずんできた山門。
限られた人生の中で、喜怒哀楽や迷いでいつも移ろい続ける人の心に、人間の時間軸を超えた不動さは、落ち着きや安定につながる気づきをもたらすのかもしれません。

人の姿は鏡に映れば整えることはできますが、心の姿を捉えるのは難しいもの。変わらないものに向き合うことは、自らの心を映す鏡に向き合うことであるとも言えるでしょう。

「みなさま信心深くなられているのかもしれませんねぇ」

話は変わりますが、先日、たまたま神社の宮司さんとお話しする機会がありました。
その神社は地域にずっと根づいてきた神社で、参拝者が年々増えているそうです。
なぜ参拝者が増えているのかうかがったところ、宮司さんいわく、

みなさま信心深くなられているのかもしれませんねぇ。

と、何とも言えないお答えをいただきました。

この神社に限らず、全国的にお寺や神社にお参りする人の数が増えていると聞きます。
家から見えるお寺の山門も、数年前とは比べ物にならないほど、訪れる人が明らかに増えています。

私なりに宮司さんの「信心深い」というお言葉を考えますと、年々変化が速くなる時代の中で、現代人の心は変わらないものをより求め始めているのではと感じます。

特に経済的な価値観が世の中の様々な場面で猛威を発揮し、好むと好まざるとにかかわらず、多くの人に変化を余儀なくさせています。
諸行無常の世の中にあって、 生きていくには時流に応じて変化していく必要はありますが、自発的な変化ならまだしも、強制される変化はつらいものです。
お寺や神社にお参りする人が増えているのは、不安定化し、先行きが見えにくい世の中において、落ち着きや安定を求める現代人の心のあらわれとも考えられます。

日常の中で「変わらないもの」を大切にする

最近、変わらないものを、ただ変わらないものとして残し、次世代につなげていくことの大切さを感じます。
変わらないものと接することで、どのような変化が人に起きるかは分かりませんが、その人の状況や経験・境遇に応じて、変わらないものから及ぼされる気づきも様々でしょう。人の数だけ気づきの数は生まれる可能性があります。

人間にはいつも変化の芽となる因があり、変化という発芽がもたらされる縁を待っています。

変化しないからこそ、変化をもたらす力がある

日常の中で自分にとって大切な「変わらないもの」を持つことは、自らに落ち着きや、前向きな変化につながる気づきをもたらしてくれます。
「お寺のある生活」とは、変わらないものがもたらしてくれる気づきが、日常生活で増えていくことなのかもしれません。

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井出悦郎

井出悦郎

1979年生まれ、東京育ち。東京大学文学部卒。人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、一般社団法人お寺の未来を創業。同社代表理事を務める

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