新型コロナウイルスに向き合う仏教の「三密」 ‐ 壽徳寺 住職 松村妙仁さん(福島県猪苗代町)
2020.04.05
新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、「三密」という言葉が良く聞かれるようになりました。
感染拡大を防止するために、この三密は避けるべきものですが、一方で日々大切にしてほしい三密もあると、真言宗豊山派壽徳寺(福島県猪苗代町)住職・松村妙仁さんは言います。
こんな時だからこそ、日々の心の平静を保つためにご一読いただきたい内容です。
松村 妙仁(まつむら みょうにん)
大学進学で上京。卒業後、音楽教室運営やコンサート・イベント企画運営会社に就職。 先代住職であった父の死や東日本大震災をきっかけに、福島に戻ることを決意し、仏門へ。 2015年11月、壽徳寺住職拝命。
新型コロナウイルスの影響が広がり、不安、心配、心惑わされる毎日ですね。
感染拡大防止に大切なことは、自分自身が感染しない、ウイルスを拡散させないこと。ポイントとして、手洗いうがいの励行と共に「三つの密」を避けることが大事であると言われていますね。
密閉(換気の悪い密閉空間)
密集(多数が集まる密集場所)
密接(間近で会話や発声をする密接場面)
真言宗の三つの密
この「三つの密を避ける」という言葉を聞いて私はドキッとしました。
それは、真言宗では「三つの密が大事」であると言われているからです。その三つは、
◆身密
身=からだ、行動
◆口密
口=くち、言葉、発言
◆意密
意=こころ、考え
です。この三密を大事に修行を重ねてゆくことが真言宗の根本であります。
からだの状態や行動、言葉を正しく整えれば、自ずと心も整えられる。三つのバランスを大事に、三密を研ぎ澄ます修行を重ねることで、仏様のように心穏やかに過ごせるという教えです。
今の社会で求められる三密修行とは
今の社会において、三密の修行とはどのような修行でしょうか。私が思いつくものを挙げてみます。
◆身密(からだ、行動)
・自分の行動を見直し、「今」大事なものを見極める
・自分勝手な行動はしない。自分さえよければそれでいいという気持ちで行動しない
・みんなのいのちを守る行動を取る
・できる範囲でからだを動かす
・一日一回は笑う
・手を洗い、身を清める
・栄養と睡眠を十分にとる
◆口密(ことば、発言)
・自分の言動を見直し、正す
・自分の事を棚において人の悪口ばかりを言わない(インターネットに書き込まない)
・人の揚げ足をとらない
・電話やインターネットなどを通して友人とたわいもない話をして気分転換する
・うがいをしっかり行い、口を清める
◆意密(こころ、考え)
・毎日1分でも自分のこころを見つめる時間をつくる
・自分のこころの揺れ動きを観察し、自分のこころを乱すものに気づく
・こころをありのままに見て、本来の自分に気づく
・様々な情報をむさぼり、こころを惑わされない
・自分だけでなく他者に気配りをし、行動に移せるものは移す
・今できる範囲で、自分がリラックスできること、こころが豊かになることをやってみる
・深呼吸をしてこころを落ち着かせる
生きる上で大切な二種類の三密
外出や行動が制限され、息苦しくも感じますが、生き方や働き方について改めて見直す時間をいただいたように感じています。
避けるべき距離の「三つの密」
守るべき自分の心の「三密」
人と人は、近くにいなくとも、大切な人とは心と心でつながっています。
自分と大切な人、生きとし生けるものすべてを守るために、自分ができることを大切に、それぞれの密を心に留めて生活してゆきたいですね。
合掌
私は以前から仏教に興味を持っていました。新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、「三密」という言葉を聞いて仏教の三蜜を思い浮かベました。
今の社会で求められる三密修行の内容はタイムリーで的を得ていて感服しました。早速大阪に住む姉と妹に知らせました。
今後も宜しくお願いします。