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大切な方と過ごす最期の夜を(妙慶院 住職・加用雅信)

2020.05.13

加用雅信(かようがしん)

妙慶院住職。広島〜東京〜LA〜広島在住。茶話坊主と称してお茶をしながら話を聴くひと時を愛する。坊主BAR、坊主café、寺カフェなど主宰。カウンセリング、傾聴、グリーフケア他も。実はデザインやアートが大好きで、ブログを毎日更新中。推しはサンフレッチェ、カープ、ドラゴンフライズ。

妙慶院寺院ページ

 関東圏では新型コロナ騒動により、一部では「一日葬儀」なるものが喧伝されつつあるようですが、広島では今のところお通夜とお葬儀が別の日に分けて執り行われています。

 先日のお葬儀でも、葬儀前夜に枕経まくらぎようとお通夜つやをご遺族と一緒にお勤めしました。初めてのご縁の方をご紹介いただいてのお勤めで、喪主さまは広島在住ですがお子さまは関東在住でした。昨今の状況に鑑みると自粛ムードに押されがちですが、ご親族からぜひ戻るようにというすすめがあり、お子さまは急ぎ帰郷されていました。
 喪主さまをはじめご家族ご親族の皆さまがご了承されておられるのでしたら、ぜひご参列いただきたいと思います。もちろん最大限に予防対策などをご配慮いただいたうえで、です。

お葬儀の前夜に亡き方の人生をお聴きする

お寺での小さなお葬式

 私は枕経とお通夜の前に、喪主さまや同席されるご家族に故人さまの生前のお話を聴かせていただくことを大切にしています。特に初めてのご縁の場合は、枕経とお通夜が初めての顔合わせの場となりますので、故人さまのご来歴やお人柄、一緒に過ごされた思い出や最期のご様子など、さまざまなことを教えていただきます。

 家族や親族だけの小規模なお葬儀であっても、故人さまの生前のお話を聴かせていただく場面の大切さは変わりません。喪主さまやご家族の方からうかがったお話を元にして、翌日のお葬儀でお授けする「戒名かいみよう」を決めるからです。
 私の場合、この場で故人さまに相応しい文字や戒名に入れて欲しい文字、あるいは心に思い浮かぶ文字をお尋ねしています。それにより故人さまを振り返って思い返していただく時間をご家族に持っていただくことになります。もちろんご希望やご要望にお応えできるとは限りませんが、なるべく採り入れるようにして戒名を考えます。

大切な方と過ごす最期の夜を

 何かと自粛が求められる状況下では、看取りやお別れの時間が持てない例がたくさん起きています。たとえ近しい家族であっても、介護施設や病院へ入られた方との面会が許されないことが増えていると聞きます。

 今回ご縁をいただいた喪主さまは、臨終の間際に病院へ駆けつけることが許されていました。幸運にも喪主さまは最期を看取り、故人さまとお別れすることができました。
 でも、他のご家族の方は、最期を看取ることができませんでした。そのためお通夜に続き、故人さまとお別れする時間をご参列のご家族ご親族に持っていただきました。昔から亡くなる方の耳、つまり聴覚は最後まで残ると言われています。「まだ故人さまがここで聴いてくださっているので、どうぞ心の声を語りかけて聴いていただいてください」と申し添えるようにしています。

 枕経とお通夜のお勤めが終わっても、喪主さまやご家族ご親族のお通夜は終わりではありません。昔のようにずっと故人のそばで夜伽よとぎして過ごすことは難しくなってきていますが、心は一緒にお過ごしいただくことができます。お一人で故人さまと過ごされた日々を振り返ったり、皆さまと一緒に思い出話を語り合いながら故人さまをしのぶ時間を持つことができるからです。ぜひそうした時間を持てるよう心がけてください、ともお通夜でお伝えしています。大切な方と過ごす最期の夜を、たとえそばにはいられなくても共にお過ごしいただきたいからです。

大切な人を偲ぶ時間を

 いま新型コロナウイルス感染症の影響で、世界中の葬送儀礼が一時的に変容しなければならない状況におかれています。亡くなられゆく大切な方をいたみ、送る場に馳せ参じることができない場合が、以前よりもはるかに増えてきています。枕経もお通夜もお葬儀も大切な方とお別れする節目となっていく儀式です。儀式には大きな力があります。今すぐにはお別れができない場合には、ひとまず先に延ばして後から執り行うこともできます。

 しかし、全く看取りやお別れができないまま時間が過ぎてゆくと、故人との死別に関する明確な節目やさよならのない別れとなり、終わりがない「あいまいな喪失」を抱えて苦しむこともあります。東日本大震災のとき、この「あいまいな喪失」を体験した人はとても多かったとグリーフケアに携わった方から聞いています。

 もし故人のすぐそばに馳せ参じることができないような場合でも、遠くからでも偲ぶ心で大切な方と一緒に最期の夜をお過ごしいただきたいと願うとともに、一人の僧侶として大切な方とお別れする時間を持っていただけるように努めていきたいと思います。

お寺画像
広島県広島市中区
妙慶院
あなたの物語りを聴かせてください
茶話好きな坊さんがいます

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茶話坊主@カヨウガシン

茶話坊主@カヨウガシン

広島〜東京〜LA〜広島在住。茶話坊主と称してお茶をしながら話を聴くひと時を愛する。坊主BAR、坊主café、寺カフェなど主宰。カウンセリング、傾聴、グリーフケア他も。実はデザインやアートが大好きで、ブログを毎日更新中。推しはサンフレッチェ、カープ、ドラゴンフライズ。

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