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冊子「コロナ下で死別を経験したあなたへ」 ~ コロナ下で大切な人を亡くしたときの心身の整え方:後編(教西寺 住職・三宅教道)

2021.04.22

三宅教道みやけきようどう

あなたのお話をお聞かせください。話すだけで心が軽くなる方もいらっしゃいます。気楽に世間話、ぐち悩み、ご相談をしていただけます。年齢・性別・社会的立場等関係なく、どなたにも来ていただけるようにしたいと考えています。

教西寺寺院ページ

 前編では、私が伯母を亡くした経験をお話しました。後編では、「あいまいな喪失」の対処方法と、それに関係する冊子「コロナ下で死別を経験したあなたへ」についてお話します。

亡くなったことを実感できない「あいまいな喪失」

 このコロナ下で、「入院中に面会できなかった」「お葬式を縮小しないといけなかった」「お葬式に行けなかった」とお聞きすることがよくあります。お葬式は大切な儀式です。亡き方へ安らかにと願い、亡き方のつながりを改めて見つめます。

 また、お葬式は区切りやけじめをつける機会であり、遺された者たちが支え合い、今後喪失をかかえやすくなっていく場でもあります。お葬式に行けず、謝ったり感謝したりする機会がないことで、亡くなったことを実感できず、言葉にできない不確かな気持ちとなられている方も多いのではないでしょうか。これは「あいまいな喪失」といわれます。悩み苦しみは、あなたが弱いからではなくて、あいまいなことによって解決が難しいからなのです。

喪失が引き起こすさまざまな反応

 大切な人やものをなくしたとき、心や身体には様々な反応が現れます。

 悲しさ、寂しさ、後悔、無力感、脱力感、怒り、安堵、何も感じない、無感動、罪悪感、涙、泣けない、眠れない、食べれない、忘れやすい、疲労感、聞き取れない、熱が出る、仕事や勉強や家事が手につかない、過活動、神仏や人生への疑問、、、などなど。

 しかし、これらの反応は全部「あたりまえ」のこと。心や身体にどんな反応が現れても大丈夫です。そして、私たちは一人ひとり違いますので、身近な家族、似た環境の友人などでも、感じ方は人それぞれです。今このときの自分の感じ方を大切にしてください。

心と身体を整えることで「あいまいな喪失」に向き合う

「あいまいな喪失」と冷静に付き合えるよう、かたちにしてみてはいかがでしょうか。時間と空間を整え、亡き方とのつながりと自分の心をみつめます。

 まず、日常生活とは切り離した時間と空間をつくりましょう。亡き方と向き合う時間を区切り、清らかと思える場を用意します。近所のお寺や自家のお墓、お仏壇など。お仏壇がなければ、いつもの部屋の一角に、日常とは違う場所を整えます。ご本尊、お写真、お名前、ろうそく、お花、お香、お供えなど用意できるものを設置します。このように場を整えることによって、亡き人と向き合う準備ができました。

 そして、次に挙げる中から、できることをやってみるとよいでしょう。
 
 読経どきよう。念仏。写経。黙念。瞑想。語りかける。手紙を書く、読み上げる。歌う。写真をみる。好きだったものを食べる。誰かに話す。

 正解は一つではないので、これらを参考に、ご自身に合った方法をやってみてください。少し落ち着いて、心身ともに「安らいでいる」と感じられるのが、ご自身にとっての良い方法だと思います。

 しかし、それをやっても「なかなか落ち着かない」という方もいらっしゃると思います。そのときは、まず「落ち着かなくても大丈夫」と考えることが大切です。
 そしてご自身の状態に合わせながら、日にちを開けて何度か繰り返してみてください。少しずつ積み重ねることによって、次第に心身が整えられていくことと思います。 

喪失による反応は「乗り越える」ではなく「抱えていく」もの

 喪失によって現れる様々な心身の反応は、一般的には「乗り越える」「立ち直る」などの言葉があるように、「なくしていくもの」「あるとだめなもの」と考えられることがあります。
 しかし、実際には完全になくなるものではないし、なくすことを目指すものでもありません。何年、何十年経っても、回復に向かったり落ち込んだりを繰り返しつつ、生きている限り一生つき合っていくものです。悲しい気持ちをなかったことにするのではなく、悲しい気持ちも自分の中にある、と肯定して受け止めていくこと。そのように喪失を大切にし、自分を大切にしていただければと思います。

ご紹介:冊子「コロナ下で死別を経験したあなたへ」

 死別や喪失に向き合うときに、一体何が起こっているか。僧侶として、人としてどうありたいか。私は坊守(私の妻でもあります)と共に、一般社団法人リヴオンを通してグリーフケアを学んでいます。
 一般社団法人リヴオンは、「グリーフ(※)ケアやサポートが当たり前にある社会」の実現を目指して活動している団体です。
 ※グリーフとは…死別や喪失から生まれてくるその人なりの自然な反応、感情、プロセス

 リヴオンでは今、「コロナ下で死別を経験したあなたへ」という冊子を発行しています。
 タイトルには「コロナ下で死別を経験したあなたへ」となっていますが、手に取ってほしいのはコロナが理由で近しい人を亡くした方だけではありません。このコロナの期間中に、思ったようにならないといしんどさを抱えている方にもお届けしたいと、リヴオンでは考えています。もちろんこの記事にご紹介した「あいまいな喪失」の対処方法についても解説しています。
 ご希望の方はこちらから、お申込みできます。

 この記事をご覧いただいたすべての方に、お見舞い申し上げます。

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三宅 教道

三宅 教道

浄土真宗本願寺派 教西寺 住職。学生時代からサークル活動でお寺の子ども会を手伝っていました。お寺に戻ってからも、寺子屋、お寺でのお泊り会、影絵劇、小学生のまち探検&中学生の職場体験の受け入れ、PTA会長など、地域の皆さまと共に取り組んでいます。

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