お寺の公式LINE活用法 - ふるさとの景色を届ける中で見えたこと(真言院住職・佐藤妙尚)
投稿日:2026.05.26 | 更新日:2026.05.26
北海道・真狩村の真言院では、公式LINEを通じて、地域の象徴・羊蹄山の写真を毎月届けています。情報発信にとどまらず、ふるさとの記憶や檀家さんとの温かなやり取りを育む、その実践と思いを佐藤妙尚住職がつづります。

佐藤 妙尚(さとう みょうしょう)
1982年8月、真言院の一人娘として生まれる。都留文科大学(文学部・初等教育学科)を卒業し、学習塾に就職。26歳のときに父が死去、27歳で4代目住職に就任。三児の母となり、現在子育て奮闘中。
公式LINEで届ける、ふるさとの景色
北海道真狩村にある私が住職を務めるお寺、真言院では、公式LINEを通して月に一度ほど地域の風景写真をお送りしています。もちろん行事のご案内などもお送りしていますが、それとは別に、季節の風景を届けています。そして、その写真は、決まって「羊蹄山」の写真です。

羊蹄山は、私たちの村から一望できる、地域のシンボルのような山です。富士山に似た美しい形から、「蝦夷富士」とも呼ばれています。
毎月、同じ山の写真を送っているだけなのですが、これがとても喜ばれています。特に、仕事や結婚などをきっかけに真狩村を離れ、別の地域で暮らしている方々から、あたたかい反応をいただいています。
配信ではなく、手紙のように
LINEで送る写真は、手書き風の言葉を入れてポラロイド写真のような懐かしい雰囲気に加工しています。また、写真と一緒に「最近の真狩村はこんな感じです」「少し暖かくなってきましたね」といった近況や季節の挨拶も添えています。どちらかというと、メッセージ配信というより、手紙やメールを送るような気持ちです。
すると、ただのお寺からの一方通行の発信ではなく、お返事をくださる方が増え、 あたたかいやり取りが生まれるようになってきました。

羊蹄山は、見る場所によって山の形や印象が少しずつ変わります。地元の人にしかわからないような小さな違いなのですが、山の角度や周囲の景色から、「これは〇〇地区かな?」と、どこから撮った写真なのかを予想して返信をくださる方もいます。また、撮影場所をクイズのようにして出題したこともありました。その土地との思い出を添えてお返事くださるので、それもとても楽しいやり取りでした。

心に残り続ける、昔から変わらない景色
私にとってはこの景色は、今も毎日当たり前に見えている景色です。けれど、こうして羊蹄山の写真を送るようになってから、あらためて気づかされることがありました。
ひとつは、私が思っていた以上に、都会で暮らす方々が田舎の四季の風景を大切に感じてくださっているということです。
都会で暮らしていると、季節の移り変わりを感じる機会が少ないこともあります。だからこそ、木々の色や雪の降り積もり方、空気の変化まで感じられる景色が、懐かしく、嬉しく感じられるのかもしれません。
そしてもうひとつは、「昔から知っている景色」には、人の心を安心させる力があるということです。
私たちにとっては、羊蹄山がこの土地のシンボルです。昔から変わらないその姿を見ると、ここで過ごした時間や、昔の記憶が自然と思い出されます。きっと誰の心にも、そんな「ふるさとの景色」があるのではないでしょうか。そういう風景は、長い年月が経っても、人の心に寄り添い続けているように思います。
これからも届けたい、景色とぬくもり
「住職が送ってくれた羊蹄山の写真は、スマホに保存しています。たまに友達にも見せています」と話してくれる方もいらっしゃいます。お寺から送る風景写真が、誰かの思い出を呼び起こし、あたたかい会話につながっていく。そのことをとても嬉しく感じています。
便利な時代になり、遠く離れていても簡単に、そして早くつながれるようになりました。けれど、人の心を動かすのは、たくさんの情報よりも、あたたかなやり取りに違いありません。
これからも真言院では、季節の景色とともに、手書きの手紙のようなぬくもりを届けていきたいと思っています。





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