豪勢な人生。アミダさまに見守られた安心(西法寺住職・西村達也)
2021.06.11
西村達也(にしむらたつや)
西法寺住職。1962年北九州市生まれ。龍谷大学文学部仏教学科真宗学専攻を’85年卒業。自坊法務の傍ら鎮西敬愛学園宗教科の非常勤講師を勤めた。’97年第十三世住職に。社会福祉法人慈恵会(済美保育園/旭ヶ丘保育園)理事長。
梯先生のYouTubeにはまる91歳の父
私の父は今年91歳になります。昨年初めてスマートフォンを購入しました。90歳にしてスマホデビューで、只今YouTubeにハマってます。いろんな情報を入手していますが、なかでも著名な先生方のご法話をよく聞いています。特に梯実円先生のご法話『本願のこころ』を繰り返し聞いていました。梯実円先生とは、先年ご逝去なさいましたが、西本願寺を代表する当代随一の名僧です。
皆さんもコロナ禍は、ご自宅で聴聞三昧してはいかがでしょうか。
手術前、父は「死んだら大いに祝え」と言う
さて、その父が先日、心臓の手術を受けることになりました。
父は嬉しそうにこう話すのです。「長生きした理由がわかった。私の90年の人生は阿弥陀様の本願のこころに出会うためであった。これまで長いこと時間がかかった、手間ひまをおかけした。」と。
父は心臓の手術を目前にして、私たち家族に「私が死んだら大いに祝ってくれ。浄土往生、お浄土に往きて生まれる、これほどめでたいことはないのだから。」と言いました。これまで、こんなことを言う父ではありませんでしたので、梯先生との出会いは父にとって余程のことだったのでしょう。
阿弥陀様に見守られた、豪勢な手術と人生
手術は無事終わりました。父は手術室に入る時の様子を次のようにメモに綴っていました。
「手術の日です。病室に娘が来てくれました。時間が来て、寝台車に乗せられて、手術室の控室まで行きます。付き添いの娘もそこまでです。お父さん頑張って!と言う娘の声を後にして、たった一人になって長い病院の廊下を行くのです。白い天井を見ながら行くのです。その時、いつもの称える念仏が自然と出るのです。私はアミダ様と一緒にいるのだと思いました。そうしてアミダ様に付き添われている私は、なんと豪勢な手術だろうと思ったのです。・・・・・手術はきちんと予定の時間に終わったようです。集中治療室の中で目を覚ましたのであります。」
阿弥陀様のことを本気で語る父の一言一言が、私の心に響いてくる今日この頃です。
ナモアミダブツ、ナモアミダブツ、阿弥陀様に付き添われ護られた人生。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ、私たちの人生はなんと豪勢な人生でありましょうか。優しく、強く、賢い阿弥陀様にエスコートされ、お浄土に歩む人生なのであります。
みなさん一人ひとりが、阿弥陀様に見守られています。
その安心に包まれているのですから、不安になる必要はありません。毎日を精一杯生きれば、それだけで100点満点です。