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戒名は生前に授かるもの?大勢が驚く戒名の本質 ~ 「オンライン戒名カフェ」全3回を終えて(教西寺 住職・三宅教道)

2021.11.15

三宅教道みやけきようどう

あなたのお話をお聞かせください。話すだけで心が軽くなる方もいらっしゃいます。気楽に世間話、ぐち悩み、ご相談をしていただけます。年齢・性別・社会的立場等関係なく、どなたにも来ていただけるようにしたいと考えています。

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※今までの開催レポートはこちら
第1回:盛り上がる対話。戒名カフェが良き人生のきっかけになってほしい
第2回:LGBTQの戒名はどうするか?鋭い指摘に戒名の慣例を考えさせられる

全3回「オンライン戒名カフェ」は盛会に終わる

 全3回のオンライン戒名カフェは、毎回とても記憶に残る時間でした。
 内容は盛りだくさん。戒名にまつわる○×クイズ、戒名の基礎知識レクチャー、有名人の戒名紹介、戒名事例紹介「実際に住職が授けた戒名の紹介」
グループ質問タイムなど、僧侶有志が考え抜いた濃密なプログラムが展開。毎回1時間半があっという間に過ぎました。

全3回とも和やかな雰囲気で進行

 特筆すべきことは、参加者の8割がお答えいただいたアンケートは、回答者全員が「有意義だった」との評価をいただいたことです。
評価の理由としては以下が挙げられます。

  • 普段会えない、多様な宗派の僧侶と一度に話ができたこと
  • 誰に聞いたら良いのか分からない、戒名やお寺とのお付き合いに関する悩み・疑問の受け皿になったこと
  • 戒名の意味・意義など、知識面のレクチャーもバランスよく織り込まれていたこと

「戒名は生前に授かるもの」多くの参加者が驚きを示す

 今回、参加者の多くが驚かれていたことがあります。それは、生前に戒名を授かることが望ましいという点です。裏を返せば、戒名は死んだ後にいただくものというイメージがかなり根強いのだと実感させられました。実際に参加者の声を見てみましょう。

  • 生前戒名が前提ということをはじめて知り(それまでは「お金を出して死後につけてもらう名前」のイメージ)今までとこれから、自分と周囲の人を繋ぐ素敵な歴史だと感じます。戒名をつけてくださる僧侶のみなさまの想いもうかがえて、普段からお寺とのお付き合いを重ねていきたいと思いました。
  • 人間は良い部分・悪い部分双方持ち合わせていますが、良い部分に焦点を当てて戒名をいただくことで、自分がどのように在りたいかの指針になると理解しました。
  • 戒名を考えて頂く際、かなりの時間をかけて考えて頂いていることが分かり、私も生前につけて頂くことを、考えようかと思います。

 生前に戒名を授かるという点で、お坊さんは僧侶になる際に戒名をいただきます。仏さまの弟子となった証であるとともに、仏弟子にふさわしい生き方・行動をとるというような「人生の指針」としての意味があります。

 では、お坊さんだけでなく、一般の生活者にとっても生前戒名をいただくことはどのような意義があるでしょうか?めまぐるしく変化する現代は、生きる意味や意義などが時々分からなくなることがあります。その時に、学校や会社などの限られた世間的な価値観だけではどうも生きづらくなってしまいます。そのような時、世間とは少し違った視点で、仏教という価値観や生きる指針を自分の中で持つことが、人生を歩んでいくにあたって支えになってくれると考えます。
 実際、参加者の中に生前戒名をいただいた方が「ものごとを数字で見なくなった」とおっしゃっていたのが印象的でした。数字で人が評価されていきがちな世の中で、仏教の世界観を通じて数字以外の大切にするべきものがあることに気づかれたのではと感じました。

死後も力を発揮する戒名。縁ある人々に気づきと安心感を与える

 そして、生前に授かった戒名は、死後にも力を発揮してくれます。戒名には、死後に子孫や後の世の人々を仏となって見守りたいという願いが込められています。そして、遺された者にとっては、戒名を通じて故人を思い出し、故人が仏さまとして見守ってくださっていることをありがたく感じられる特別なお名前として、時代を超えて受け継がれていきます。

 今回、「戒名について何も知らない」という方とお話して、改めてその意味合いを考えてみました。
「生きる指針」と「死後の安心」が込められているのが戒名です。生前には仏さまの弟子にふさわしい生き方を営んでいく。そして、亡くなられた後は単なる死者ではなく、仏さまとして縁ある人々の人生に気づきと安心感を与えていく。戒名とはそのようなよろこびに満ちたお名前だと思います。

 実際、戒名についての気づきを語られた参加者の声を見てみます。戒名は死者と生者をつなぎ、生き死にを考えさせるものという認識が、参加者のみなさんに深まったことが感じられます。

  • 戒名は生前に受けるなら自分の指針としたいし、死後に受けるなら懐かしんでもらえるものがいいと思った。次兄の戒名と父の戒名はふたりに合っているのかな?と、昨晩考えていました。
  • あまり戒名は気にかけたことがなかったですが、亡くなった家族や友人の戒名を見てどんな意味や思いで僧侶の方が付けてくれたのかを考えてみたいと思いました。
  • 今回のカフェが戒名をつけることが目的ではなく、戒名について考えることを通し、生と死など、普段の生活ではあまり考えないような、世間を超えたものに触れてほしいという僧侶の方々の思いを感じました。ありがとうございました。
  • この世とあの世をつなぐものということを改めて感じました。残された者にとって、戒名の意味を考えることが「喪の仕事」だと感じます。

続編企画「まいてらカフェ」として展開予定。乞うご期待

 今回参加された方々は、お坊さんと話したことがないという方が多く見られました。お坊さんが人々の生活の中にいない、お寺が人々の生活に関わっていないということに気づかされました。これは自戒をこめて、私たち僧侶の努力が足りていないということだと思います。

 全3回のオンライン戒名カフェを終え、今回企画したまいてら僧侶の有志で振り返りを行ないました。
 実際に安心感を覚える方々が少なくない実態を見て、このような場を開いていくことの意義を確認し、何らかの場を継続していこうという話になりました。名称も「まいてらカフェ」とし、戒名だけでなく、葬儀やお墓、仏教の教えなど、お寺にまつわる様々なテーマを企画していく予定です。

 参加者のみなさんが気づきや安心感を覚えていただくだけでなく、私たち僧侶も参加者のみなさまとの対話を通じて成長していきたい。
 お寺や僧侶が人々の生活の中にあって、少しでも安心感を覚えていただく存在になりたい。

 このような願いを込め、まいてらが謳う「お寺のある生活」を体現する取り組みとして展開していきたいと考えています。
 詳細はまた改めて正式に告知させていただきます。「まいてらカフェ」を通じ、多くのみなさまとご縁をいただくことを楽しみにしております。

 合掌

※宗派によって「法名ほうみよう」「法号ほうごう」とも言いますが、この記事では「戒名」と統一しております。

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愛知県名古屋市昭和区
教西寺きようさいじ
笑顔がつながる 明るい朱色のお寺

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