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「脚下を看よ − まずは自分の足もとを正見する」 ~ ちけんの禅語法話(耕雲院 副住職・河口智賢)

2020.07.30

 みなさん、こんにちは。河口智賢ちけんです。
 ありがたいことに継続は力なりと言いますが、毎週のオンライン坐禅会でお話ししたことを記事に書くことが大切なルーティンとなっています。

 ルーティンを通じて、”脚下きやつかよ”という禅語が思い出されます。
 坐禅会でお話ししたことを文字にすると、自分自身が実践できているのか足元を見る良い機会になります。都合の良い解釈を言いっぱなしになっていないか、ちゃんと足元を見ると揃えたはずの靴がずれていることはよくあるものです。

 さて、本日は“八正道はつしようどう”についてのご質問をいただきました。
 八正道は禅語ではありませんが、仏教の本質でもあり、私なりにお話をさせていただきます。

河口智賢(かわぐちちけん)

耕雲院 副住職。様々なことにチャレンジしながら坐禅や精進料理など「禅ZEN」の魅力を発信しています。また、お寺で色んな人を巻き込んで地域食堂やマルシェなどを開催しています。ご縁から生まれる笑顔を見ることが喜びになってます。

耕雲院寺院ページ

脚下を看ることは八正道の「正見」

 仏教では“四苦八苦しくはつく”というように、生きることそのものが苦しみであるという考えがあります。苦しみの中で私たちがどう生きていくべきか、その答えとなる実践が八正道です。
 苦しみがあることを理解し、その原因を探究して、その原因が自分の心のありかたによるものだと気付き、ではどう向き合うかという実践が八正道になります。

 八正道は私たちが苦しみの中で今を生きるための「八つの正しい実践」です。
 一つ目は「正見しようけん」です。正しい智慧・見解です。これは縁起などものごとの道理を正しく知ることで、八正道の中で最も大切なところです。
 私の立場で言えばお釈迦さまの教えを真っ直ぐ素直に信じ、真理を正しく見るということです。仕事でも勉強でもせっかく正しくやり方を教わっても、途中でできた気になって自分にとって都合良いところだけ切り取った解釈をする。そして結局迷って苦しくなることってありますよね(私もよくあります)。大切なのは本質をありのままに見るということです。
 私自身が脚下を看るためにお話しを文章にするという行ないは、まさにこの正見に当たると考えています。

 二つ目は「正思惟しようしゆい」です。正しい考え方、正しい決意です。ことにあたって是非や善いか悪いかを正しく考え判断するということです。正しく見るためには、言葉や身体で行う以前に、本質とは何かをしっかり考えることが大事ですよね。

 三つ目は「正語しょうご」です。正しい言葉を使うことです。悪口を言ったり嘘をついたり、相手が傷つく様なことは言わないということです。耳が痛いですが全くその通りです。

 四つ目は「正業しようごう」です。正しい行いをするということです。殺生をしたりものを盗んだりしないということです。子どもの頃から言われてますよね。

 五つ目は「正命しようみよう」です。正しい生活をして生きるということです。より良く生きるための心がけです。まずは規則正しい生活を心がけることが大切ですね。

 六つ目は「正精進しようしようじん」です。正しく努力するということです。これは4つに分けることができます。悪いことを絶対にしない努力をすること。もし悪いことをしてしまったら、しないように努力すること。まだ善いことをしていなかったら、するように努力すること。すでに善いことをしていたら、さらに継続する努力をすること。この4つです。善い行いを心がけましょう。

 七つ目は「正念しようねん」です。正しい意識、注意です。正しい信念を持ち、真理へと心をはたらかせることです。自分を信じましょう。

 八つ目は「正定しようじよう」です。正しい精神統一です。正しい禅定、つまり正見をはじめとした七つの実践を行うために、坐禅によって自分の心のあり方に気づくことです。正定を得るには坐禅がとても適しているのでとても大切な時間になります。

 以上のように、苦しみを理解し向き合って生きていくための実践が八正道です。いきなり全てを実践することは難しいので、まずは何か一つでも心に残るものを実践されるとよいと思います。

 私自身は、坐禅をして瞑想の中で自分がどういう状態か感じることに加え、このように文字にすることで脚下を看る正見を大切にしています。まずは私自身ができているかの見直しから始めることを心がけていきます。
 禅宗のお寺では玄関に“脚下照顧きやつかしようこ”と書かれた木札があります。目にされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。履き物を揃え一呼吸おくことで心を整えるという意味です。そこで今回の話を少し思い出してご自身の足元を確かめていただく機会になれば幸いです。

 長くなりましたが、今回のお話は以上です。
 みなさん、良い1日をお過ごしください。

オンライン坐禅会の申込方法

 オンライン坐禅会は毎週日曜日の朝6時から行なっています。参加方法はまいてらカレンダーをご参照ください。
 皆さまのご質問や坐禅会で話してほしいことなどを募集しておりますので、ぜひお気軽にお申し込みください。

本稿の英訳(※坐禅会のご参加者の方が英訳されたものです。感謝!)

What is “Hasshodo”?

Hello. I’m Chiken Kawaguchi.
Thank you very much for attending our sixth online Zen meditation session.

Today, we can hear raindrops spattering the ground and less chirping of birds, just like in the middle of a rainy season. I wonder if little birds are sheltering themselves somewhere from the rain. Although I was conscious of the sound of rain first, it naturally brought me some kind of comfort of being surrounded by nature. Also, it reminded me of sensing the sound of silent snowfall during a meditation practice at Eiheiji Temple covered with thick snow. It was a moment that I felt nature as it was.

Today’s topic is “Hasshodo – The Noble Eightfold Path.”
It’s the real essence of Buddhism, but I’d like to explain in my own way.

First of all, let us remember the previous topic, Shiku Hakku. (q.v. our last blog)
Hasshodo is the set of practices to answer the question of how we can go on living in those struggles – understanding the reality that we have to go through pains, looking into the cause, recognizing that our mindset actually causes the sufferings, and confronting them.
Hasshodo teaches us the eight noble practices of how to live in the present despite of agony.

First, Shoken is the pivotal part in Hasshodo. From my viewpoint, it means that we should follow the Buddha’s principles without doubt and see the truth right.
Even though somebody spares no effort to teach you the right path at school or at work, we tend to be complacent halfway and interpret in our favor. Then, we get lost and eventually be distressed. Isn’t that correct? As for me, it is. So, the basis is to grasp the substance as it is.

Second, Shosiyui means to think properly and make a right judgement. It’s indispensable to contemplate the truth in order to understand things correctly.

Third, Shogo tells us not to speak ill of others or tell a lie. Never say anything bad which hurts someone. It sounds like a home truth, but I have to admit it.

Fourth, Shogo is to have a good deed. Never kill or steal. It’s a common knowledge even
small children are taught.

Fifth, Shomyo advises us to have a proper lifestyle and a faithful life. It’s an attitude to obtain a better life. Why not begin by having regular habits?

Sixth, Shoshojin is to make a reasonable effort. Try to do a virtuous deed.

Seventh, Shonen leads us to have a right faith and exercise it to reach the truth. Believe in yourself.

Last, Shojyo, in other words, Zenjyo, reminds us of the importance of noticing the natural state of mind by doing a Zen meditation. Contemplation is a key to conduct those seven practices with the basis of Shoken.

In short, Hasshodo practices are of help to face sufferings and go on living.

I just gave you a brief explanation. It may be difficult to try everything all at once. So, why don’t you choose one of them and try a Zen meditation to look into the state of your mind? I hope it will guide you to comfort.

Shiki Masaoka, an old-time Japanese poet, also said that Buddhism is a principle for living.

The awakening article I saw the other day said that it was quite meaningless to communicate within just 140 words on social media. It is important to have a short and plain expression, but we need to understand even more what the person really wants to say and grasp the truth in it.

Kyakkashoko – look carefully where your own footsteps fall. I’ll reflect on my own self first.

It became a long story, but I’ll wrap it up here. I’d be happy to take more time to amplify Hasshodo if I have a chance.

If you have any questions, feel free to contact me. Our next session will start at six in the morning, July 5, Sunday. Please sing up on this website.

I very much look forward to having you again. Have a good one!

Sincerely,
Chiken Kawaguchi

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