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晋山結制式に想う。変化の激しい時代だからこそ「今」への集中が大切(雲晴寺住職・五十川幸導)

2021.02.26

五十川 幸導(いそかわ こうどう)

雲晴寺住職。昭和53年(1978)年生まれ。平成2年得度(11才)。平成20年曹洞宗大本山總持寺の修行から帰山。坐禅を中心に、禅がもたらすやすらぎと力を人々に知っていただきたいと日々活動しております。

雲晴寺寺院ページ

 令和3年4月16日と17日の2日間、雲晴寺うんせいじでは新しい住職に交代するための儀式「晋山結制式しんざんけつせいしき」が行われます。昨年5月に式を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況に鑑み、残念ながら延期になっていました。晋山結制式はお寺の世代交代を意味するとても大切な儀式です。
 東堂とうどう(前住職のこと)の退任式である退董式たいとうしきも行われ、お檀家さん、地域の人たち、お寺を支えて下さったたくさんの方々に新住職をお披露目する場でもあります。

お寺を一代で立て直した両親のうしろ姿

 慶長18年(1613)年に開かれた雲晴寺は約400年もの歴史を誇り、25名の歴代住職によって受け継がれてきました。かつては広大な寺領を持つ明石の名刹でしたが、昭和20年7月の大空襲で山門を残してすべて焼き払われ、戦後は困窮を極め、多くの寺領を手放しました。師匠である父が2歳の時の話です。

 師匠が仏縁によりお寺を継ぐことになり、がむしゃらに走り回って一代でお寺の再建をここまで果たしました。間違いなく雲晴寺を立て直した中興の祖と言えるでしょう。

 そういう師匠であり父のうしろ姿のおかげで今の私があることは間違いありません。

 また、それを横で支えた母は父とは真逆の性格。争いごとを嫌い、とにかく全てを包み込むような優しい性格です。この2人が復興させてきたお寺でなければ、私はお寺を継いでいなかったかもしれないです。

金剛力士像が安置されている雲晴寺の仁王門(山門)

住職になることの葛藤と覚悟

 お寺に生まれ、お寺で育ち、やがては自分がこのお寺の住職になるのだろうということはなんとなく分かっていましたが、やはり若い頃には葛藤がありました。「何かにがむしゃらに打ち込みたい!」という気持ちが小さい頃からずっとあり、たまたまスポーツの世界にご縁をいただき、高校を卒業した私は約7年間、アスリートとしてゴルフに打ち込みました。しかしその間も、頭のどこかでお寺の住職になって雲晴寺を支えなければならないという考えが消えずにいました。

 25歳の時、足を怪我したことをきっかけにスポーツとの縁を切ってお寺の世界に戻りました。大本山総持寺での約4年間の修行は過酷を極めましたが、年数を重ねるごとに充実感もでてくるようになり、過去でも未来でもない「今」だけに集中することの大切さを身をもって教えられる中で、仏道に生きることの覚悟が固まりました。

 雲晴寺に帰ってきたのが13年前の2008年。副住職の間にお寺の未来を考えて、できうる限りのことにチャレンジしてきました。様々な勉強会に参加し寺業を模索し、5名程度の参加から始めた月例坐禅会は、やがては毎回80名もの方にご参加いただく規模になりました。また、お寺での婚活「お寺でGOEN」もいまや雲晴寺の恒例行事です(2021年2月現在、コロナ禍により休止中)。時代に合わせて、永代供養墓も建立しお寺が主体になる形で運営をはじめました。親しみやすい様にホームページもじっくり時間をかけて開設しました。若い世代や様々な方にお寺を知ってもらえるきっかけになっていると思います。

変化の激しい時代だからこそ変わらないものが価値を持つ

 両親が戦後の焼け跡を生き抜いてきたように、これからはウィズコロナの時代。変化は速く、そして激しく、誰も未来を予想できません。

 だからこそ「変わらないもの」が価値を持つのではないかと確信します。SNSに代表される物はあくまでも手段であって、修行の時に叩き込まれた「今」を大事にし、雲晴寺を「ここに来るとやすらぎや生きる力を得られるな」と自然に人の集まる魅力あるお寺に更にしていきます。

 師匠がまさに今私にしてくれているように、30年後の私も、息子が修行をつみ次の住職となり、たしかにバトンを手渡すことができるよう、「今」を精進して参ります。

お寺画像
兵庫県明石市
雲晴寺
今を生きるあなたに寄り添う禅寺

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