10億人のご先祖さま(西法寺住職・西村達也)
2022.12.28
西村達也(にしむらたつや)
西法寺住職。1962年北九州市生まれ。龍谷大学文学部仏教学科真宗学専攻を’85年卒業。自坊法務の傍ら鎮西敬愛学園宗教科の非常勤講師を勤めた。’97年第十三世住職に。社会福祉法人慈恵会(済美保育園/旭ヶ丘保育園)理事長。
30代さかのぼったら先祖は何人・・・?
そろそろ大晦日ですね。お盆やお彼岸は多くの方がご先祖や亡き方を偲びますが、年末年始にもお墓参りに行かれる方は少なくありません。
皆さんは、自分の「お父さん」と「お母さん」からさかのぼって、自分と直接つながったご先祖をどこまでイメージできますか。良くて「ひいおじいちゃん」や「ひいおばあちゃん」でしょうか。私は、「おじいちゃん」と「おばあちゃん」までかな・・・。割と小さな範囲でしかとらえていませんが、ほんとうは数えきれないほどのご先祖とつながっているのです。
たとえば、私から両親を一代、祖父母を二代、曾祖父母を三代と、三十代昔までさかのぼったとすると、私一人の背景には何人のご先祖がいらっしゃるでしょうか。両親が2人、加えて祖父母が4人、加えて曾祖父母が8人、加えて16人、32人、64人、128人、256人、512人と、これを30回繰り返すと答えは出ます。実に10億人を超えるご先祖の数になるのです。すごいですね。
その中の一つの夫婦が出会わなかったら、すべての流れが変わるでしょう。その中の一人でもいなかったならば、やはりすべての流れが変わり、私という存在はありえません。逆に言えば、私がここに存在するためのすべての条件が一つも欠けなかったと言えるでしょう。本当に不思議なことです。
誰もが生かされているいのち
このこと一つとっても、私という「いのち」は私だけで成り立つものではなく、計り知れない大きないのちの営みの中に、生かされているということを味わうことができます。
大宇宙のいのちの躍動が、今のこの私を成立させているのです。
新年を迎えるにあたり、ご先祖への思いをはせながら、多くのいのちとつながり、そして生かされているご自身のありようを振り返ってみるのはいかがでしょうか。