納骨堂の選び方!サイズや注意点をご紹介【現代お墓事情④】(森口純一・TSUNAGU代表)
2022.02.01
森口純一(もりぐちじゅんいち)
礼拝空間デザイン室TSUNAGU(つなぐ)代表。昭和41年生まれ。全国47都道府県の寺院に永代供養墓を設計。さらに永代供養墓をきっかけに参拝者目線で布教活動をデザインし、仏教伝道を基盤にお寺の存在価値を高める活動をする。
※前回記事(樹木葬)はこちら
まいてら読者の皆さん、こんにちは。礼拝空間デザイン室TSUNAGUの森口純一です。今回は納骨堂についてお話しさせていただきます。
かつて納骨堂というと、無縁になってしまった遺骨をお預かりする、どこか寂しげなお堂のイメージをもつ方もいるかと思います。しかし、納骨堂が永代供養墓として利用されるようになりますと、そのイメージも大きく変化してきました。一言で言うならば「参拝者にも寛げる空間」であることです。安置される遺骨も今まで以上に丁寧に扱われ、故人だけではなく参拝者にとってもゆったりと安らげ、まるで居住空間のように豪華なものまで出来ています。
納骨堂のサイズは?家族形態により選ぶことができる
納骨堂と樹木葬、どちらが良いのですか?こんな質問をされることがあります。
そんなときは、どちらがお参りしやすいですか?とお聞きします。どちらにしても弔いの気持ちを運べるところで、大切に供養をしてくれる場所なのか、人それぞれ感覚が違うからです。
納骨堂には大きく分けて、一人用、二人用、家族(3人から12人用)と、家族形態に合ったサイズ感で自由に選ぶことができます。
中には、遺骨だけではなく、仏具や位牌、故人の写真や思い出の遺品も安置までできる、家庭にあるお仏壇のような納骨設備もあります。
価格も様々で、数十万円から数百万円と幅広く、デザインも多種多様に選択出来ます。
家に例えるなら、戸建てから集合住宅、さらには高級マンションまで選べるといったところでしょうか。それだけに見学も自由にさせてもらえるところがおすすめです。
納骨堂の選び方。多くの人が重視するポイント
・交通の利便性がいい
駅近や自宅から近距離圏内にあること。納骨堂希望者の多くが定期的にお参りしたいと考えており、アクセスが重視されます。
・納骨の仕方に丁寧さを求めたい
自分もしくは、大切な方の遺骨がどんなところに納骨されるのかが気にされます。荘厳さや清潔感、遺骨との距離が身近で、故人を近くに感じたい人に多く見られます
・天候に左右されず、気兼ねなくお墓参りしたい
室内なので、天候が悪くてもゆっくりお参りができます。誰かと一緒にお参りする際も、気兼ねなく誘うことが出来ます。冷暖房完備、休憩施設完備されているところもあります。
・法事や法要もでき、身内親戚とも会える
慣れ親しんだところなので、法事法要も頼みやすく、故人にも喜んで欲しい。お寺と深くお付き合いしたい人に多く見られます。
以上を見ますと、建物に守られた納骨堂ならではの安心感があるようですね。
納骨堂で注意したいポイント
納骨堂に契約すると個別で使用できる専用の納骨設備(納骨壇)を使用出来る権利が与えられます。
ここで、注意したいのは、納骨壇の使用権と所有権の違いです。例えば、お寺や霊園にある一般的な墓石です。石は個人の所有物ですが、土地はあくまでもお寺や霊園からの借地です。納骨堂の場合、場所も納骨壇もお寺などの経営主体に所有権があることです。何らかの理由で、契約が終了した場合、契約者は、使用する権利がなくなります。
最近の納骨堂は、後継ぎがいなくなると納骨壇はお寺に返し、遺骨は合葬墓に埋葬され、お寺が責任を持って、供養管理してくれます。だから、継承者がいなくなっても安心して納骨堂が求められるようになりました。永代供養墓とセットになっている納骨堂かどうか、どのような供養をしてくれるのかをしっかりチェックしましょう。
納骨堂の場合、維持管理に手間がかかるため、年間の管理費が数千円〜数万円かかる場合が多いので、自分だけではなく、後に残される人たちとも十分に話し合いして購入することが大切です。
見た目や機能だけで決めない
残念ですが、一部の納骨堂には売上効率重視のところもあり、運営販売を企業に全て任せっきりのお寺もあります。そんな納骨堂は、完売または売れ行きが悪いと、企業が撤退するケースがあります。大切な故人、またはご自分が安心して入れるお寺を選ぶことが、最も重要なことです。
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