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永代供養墓のメリット・デメリット!永代管理、永代使用との違いは?【現代お墓事情②】(森口純一・TSUNAGU代表)

2021.09.24

森口純一(もりぐちじゅんいち)

礼拝空間デザイン室TSUNAGU(つなぐ)代表。昭和41年生まれ。全国47都道府県の寺院に永代供養墓を設計。さらに永代供養墓をきっかけに参拝者目線で布教活動をデザインし、仏教伝道を基盤にお寺の存在価値を高める活動をする。

礼拝空間デザイン室TSUNAGUホームページ

※前回記事はこちら

 まいてら読者の皆さん、こんにちは。TSUNAGUつなぐの森口です。
 今回から永代供養墓に関する基礎知識やメリット・デメリットを分かりやすくお伝えして参ります。

永代供養墓のメリット

 永代供養墓と言っても具体的にはどんなお墓なのでしょうか?特徴として次のようなものが挙げられます。

  • お寺がお焼香、献花、お経を唱えてくれます
  • お寺がお墓の維持管理をしてくれます
  • 跡継ぎがいなくても、お墓を契約できます
  • 経済的な負担が少なく、数万円〜数十万円でお墓を求められます

 ご自身やご家族に代わり、お墓のこと一切をお任せ出来るお墓なのです。つまり、お墓をお寺に託すことが出来るのです。家族のお墓は自分たちでお世話をし続けることが必要ですが、永代供養墓は多くのその点が決定的に異なります。

 でも、お任せしたきりで大切な故人のことは忘れないでくださいね。お寺では、定期的に合同法要なども行いますので、足を運んでみることをおススメします。血縁を超えた多くの人がお参りすることで、永代供養墓には数多の祈りが注がれ続け、時代を超えてイキイキとした雰囲気が保たれていくことになります。

永代供養墓を選ぶのはこんな方

 実際に、私が今まで接してきた、永代供養墓を選ばれる多くの方々には次のような特徴が挙げられます。永代供養墓のメリットにぴったり当てはまります。

  • これ以上、お墓を守れない。お墓じまいをしなくてはいけない(お墓じまいにの詳細については、また別の機会にお話します)
  • 身体上、アクセスの問題でお墓の維持管理が出来ない
  • 家族にお墓のことで面倒をかけられない
  • 諸事情で、実家のお墓に入れない
  • 夫の実家のお墓に入りたくない
  • お墓に自分らしさを求めたい
  • 経済的に負担をかけたくない

 様々な事情、お墓への価値観の変化などから、永代供養墓へのニーズは、益々増加傾向にあります。お墓はあって当たり前だった時代から、お墓は自分の希望にあったものを確保する時代へと変化しています。

【注意!】永代供養墓のデメリット

【解約時の返金】
諸事情で契約を解除したい場合、一旦お支払いした契約金は返金されない場合があります。生前での契約でも返金されないことがありますのでご注意下さい。

【遺骨の返還】
埋葬してしまった遺骨は、返還することができない場合があります。特に他人のお骨と混ざり合う合葬墓に埋葬すると、遺骨を取り出すことが不可能になります。

【個別型の使用期限】
個別に納骨施設(納骨壇)に預けたり、個別の専用墓石に埋葬できるものもありますが、使用期限があります。期限が過ぎますと合葬墓へ埋葬され、個別の墓石、納骨施設は管理者に返還することになります。中には個別管理を延長できるものもありますので、契約期限が近くなった際にお知らせが来るのかも含めて、契約時にご確認ください。

【年間管理費】
永代供養墓によって、年間管理費の有無があります。年間管理費がある場合、契約規定の未納期間を過ぎますと、遺骨は合葬墓へ埋葬されます。

【契約したことを誰かに伝えておくこと】
近年、永代供養墓に関する問題の一つに、孤独死や痴呆などで故人が生前に永代供養墓の契約をしていたことを誰も知らずに、別のお墓に埋葬されてしまうことがありました。生前のうちに信頼できる誰かに伝えておくことも必要な時代になっています。

 永代供養墓を選ぶ上では、気をつけなければならない点も多くあります。十分な比較検討を重ねた上で、ご自分だけの判断ではなく、家族や信頼できる誰かに相談されたり、一緒に説明を聞いてもらうことをお勧めします。

よくある永代供養墓2つの誤解「永代管理」?と「永代使用」?

 永代供養墓には「永代」という言葉がつきますが、この言葉は色々な場面で使われ、よく誤解されます。

 まずは、「永代管理」です。
 端的に言いますと、遺骨の管理はするものの、供養はしない形式です。主に市町村などの地方自治体が運営する公共霊園に多いケースですが、現在、公共霊園にも合葬墓や樹木葬、納骨堂といった様々なスタイルの継承者不要のお墓が出来始めています。
 しかし、このようなお墓は、永代供養墓とは趣旨が異なるのです。この場合、維持管理はしますが、供養は行わないのが一般的です。供養をしたい場合、ご自分でお寺などを手配しなければなりません。

 そして「永代使用」です。
 これは一般墓所に使う言葉で、区画を永代にわたって使用できる権利のことを言います。正確には、土地を購入するのではなく、土地を借りる権利を得るといった方が正解です(永代借地権と言います)。
 永代使用料を支払ったから永久にお墓を使えるのではなく、年間管理費を納める限り、お墓を使用出来る権利があるということになります。一般的に家族で所有する従来のお墓はこの永代使用に該当します。

 永代管理も永代使用もお骨を安置することはできますが、必ずしも故人を偲び、弔う供養が紐づているわけではありません。
 永代供養墓とは、お骨を安置できるだけでなく、故人をご供養し続けるという営みがセットになっているお墓です。永代という言葉があるから供養もついていると思いこまず、実際にはどのような供養が行なわれているのか、ぜひ具体的にお墓を運営する管理者にたずねてみてください。聞いてみると、永代供養墓とは名ばかりで、しっかりとした供養が行なわれていないことも少なくありません。

※次回記事はこちら

※まいてら寺院の永代供養墓はこちら

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