メールマガジン

【ちけんの禅語法話】放下着 – 自分の気持ちに素直になる(耕雲院 副住職・河口智賢)

2020.06.26

河口智賢(かわぐちちけん)

耕雲院 副住職。様々なことにチャレンジしながら坐禅や精進料理など「禅ZEN」の魅力を発信しています。また、お寺で色んな人を巻き込んで地域食堂やマルシェなどを開催しています。ご縁から生まれる笑顔を見ることが喜びになってます。

耕雲院寺院ページ

 みなさん、こんにちは。河口智賢ちけんです。
 新型コロナウイルスの影響が広がってから、在宅でも心を落ち着けられる取り組みができないかと考え、耕雲院こううんいんでは5月から毎週日曜日の朝6時スタートでオンライン坐禅会をはじめています。
 始めた時はどうなるかと思いましたが、おかげさまでリピートされる方も多く、時には海外からもご参加いただいています。遠くにいても坐禅を通じてみなさんとつながれるということに喜びを感じています。

 坐禅会では毎回、坐禅の後に私から少しお話をさせていただいてます。参加者の方から毎回いただいた質問に対し、禅語をまじえてお答えする形を取っています。
 最初の坐禅会でいただいたご質問は、“自分の気持ちに素直になるためにできることは何ですか”、というもので、私なりに考えたことをお話しさせていただきました。

自分の気持ちに素直になるためにできること。そのための放下着

 結論から申し上げますと禅語の放下着ほうげじやくです。
 つまり、ものごとへのこだわりや自身のプライドを放り投げてしまい執着から離れてしまうことです。

 自分の気持ちに素直になるということは、自分と向き合うことから始めなければなりません。常日頃、自分と向き合う時間は実は中々取りづらいものです。
 そこで、坐禅をして、瞑想の中で自身と向き合う機会を作ることをおすすめします。
 足を組み身体を調え、そして深くゆっくりと呼吸を意識し調えていく、意識の中でものごとの移ろいを感じながら自身の今のあり方に気づき受け入れていく。このことをただひたすらに繰り返し行うことで、自ずと自分と向き合い、自分自身を認めていくことが大切です。

 私自身も、一人の弱い人間です。だからこそ、坐禅を繰り返し行うことで諸行無常しよぎようむじようの移ろいに対して気づいていくことが必要だと思っています。もちろん中々うまくいくものでもありません。

 例えば坐禅を組んでいる際に、オンライン坐禅に海外の方がせっかく参加してくださったのに私自身英語が話せない。話せればもっとコミュニケーションがとれて沢山のことをお伝えできるのに、はがゆい。などの考えに捉われていました。そのことにずっと捉われ続けているとネガティブな気持ちに陥ってしまいます。
 しかし、話せない自分のあり様に気づけたことで、じゃあ勉強してみようとか、別の方法で伝える努力をしてみようとなど、少しポジティブになるキッカケになります。
 そうやって今の自分を認めてしまうことで、楽になるということもあります。自分に素直に向き合えには、ありのままの自分を認められることが第一歩になります。

坐禅は放下着の入口

 お釈迦様はこの世の中苦しみの中で生きていることに気づき、様々な修行を経て悟りを得られました。お釈迦様の言葉に、四苦八苦という言葉があります。
生きること、老いること、病気になること、死を迎えることという四苦。そして、愛する人と別れること、憎しみや怒りの感情をむけられること、欲しいものが手に入らないこと、目や耳や鼻や舌など身体の器官から感じることなどの八苦があります。
 それらの苦しみの中から、実践を重ねることで日常の小さな幸せに気づいていくことが大切になります
 坐禅で瞑想することは、その実践の一つです。

 行き詰ったら、放下着を心がけましょう。
 プライドも拘りも執着せず、全て放り投げてみましょう。最初は怖いけど、肩の荷が下りてきっと少し楽になるはずです。それが必要なことであればまた拾えばいいんです。
 今の自分のありのままの姿に気づいて、そんなご自身の姿も時には認めて受け入れてみてください。そうしたら、きっと自分の気持ちに素直になれるはずです。

 Well-being。みなさんが小さな幸せを日常生活で感じられるようお過ごしいただければ幸いです。
 今日という良い一日をお過ごしください。

オンライン坐禅会の申込方法

 オンライン坐禅会は毎週日曜日の朝6時から行なっています。参加方法はまいてらカレンダーをご参照ください。
 皆さまのご質問や坐禅会で話してほしいことなどを募集しておりますので、ぜひお気軽にお申し込みください。

本稿の英訳(※坐禅会のご参加者の方が英訳されたものです。感謝!)

How can we be open-minded?

Hello. I’m Chiken Kawaguchi.
Thank you so much for attending our fourth online Zen session. I’d like to send you email letters to let you reflect the talk we had after the meditation.

Let me talk about today’s theme – What can we do to be more open-minded?
Simply put, the answer will be “Hougejyaku” in Zen teachings. It means to let go of your obsession, self-pride and cling.

To be candid to yourself, you need to see yourself as you are. It’s sometimes difficult to have a certain set of time in daily lives to observe yourself. So, you can begin with Zen meditation to look at your inner self.

Align your body by sitting cross-legged and bring your awareness to your breath by inhaling and exhaling deeply and slowly. While feeling changes of the universe, notice how you are right now and just accept it. A single-minded practice of this process will be critical to understand and acknowledge yourself.

As for me, I am also a fragile human being. Still, I need to practice Zen meditation on daily basis to recognize the fact that all things must pass. It sometimes doesn’t go well, for sure. In fact, I was obsessed with the regret of not being able to speak English during today’s session. I wish I could communicate more with some of you attending from abroad.

While sticking to that idea will just let you fall into a pessimistic view, admitting yourself as you are will become a good opportunity to take up learning the language or try the different ways of communication. Accepting your whole self can lead to a more comfortable life, which will ultimately free yourself and open your mind.

Buddha found that every living thing was suffering and went on to practice asceticism in order to perceive a truth.

We have a word, Shiku Hakku – four sufferings of birth, old age, illness and death and eight sufferings such as parting from beloved ones, hatred, anger, needing and senses through your organs like eyes, ears, nose and tongue.

Accumulated practices will enable you to find a little happiness hidden in those sufferings. Zen meditation is one of them to help you do so.

Whenever you come to a deadlock, remember the word, Hougejyaku. Just let go of your obsession, pride and cling. It might be scary first, but you will surely feel relieved and eased. If needed, just retake it.

So, let’s try to observe yourself and accept what you are from time to time. Then, you can be true to your heart.

Well-being – I hope you discover small happiness in your daily lives.

If you have any questions or something you’d like to share, feel free to contact me.
I look forward to having you in our Zen sessions. Enjoy your wonderful day.

Sincerely,

Chiken Kawaguchi

お寺画像
山梨県都留市
種月山 耕雲院

寺院ページを見る

シェアする

  • Facebook
  • Twitter

この記事の感想を残しませんか?

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

この記事の感想を残しませんか?

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

他にこのような記事も読まれています

お寺アイコン まいてらだより

お寺・お坊さん・仏教の情報が盛りだくさんのメールマガジン

    寺院関係その他

    TOPへ戻る

    『安心のお寺』マーク

    『安心のお寺』マークは、
    「安心のお寺10ヶ条」に基づく審査を
    クリアした寺院に付与されるマークです。