大イチョウの下に眠る安心。『どうぶつたちの』お墓を建立しました(髙願寺住職・宮本義宣)
2023.11.05
宮本 義宣(みやもと ぎせん)
1962(昭和37)年川崎市生まれ。本願寺派布教使。武蔵野大学通信教育部講師。中央仏教学院講師。東京仏教学院講師。元龍谷大学大学院実践真宗学研究科講師。元本願寺派中央相談員。
ペットの埋葬場所に困る方が増えてきた
これまで、ペットとして飼ってきた犬や猫のお骨について、「お墓に入れても良いのですか?」というご相談をたびたび受けてきました。そのたびに、「後々のことを考えると一緒に入れないほうがよろしいのではないでしょうか」というアドバイスを差し上げてきました。
私は、動物たちは自然の循環のなかで土に返してあげた方が良いと思っています。
かつては、飼っていた犬や猫などが死んだとき、自宅の庭の片隅に穴を掘って埋め、小さなお墓を建ててきたと思います。現在では、都市部では自宅に庭があるお家の方が少なくなってしまい、飼っていたペットが死んだときに困る方が増えています。
法律上はペットの遺骸は物扱いとなりますが、ペットを家族の一員として共に生活してきたご家族の思いからすると、そのようには処理できません。ですから、これまで髙願寺では、大きな木の下に埋葬してあげてくださいと、穴を掘って埋めてあげることをお勧めしてきました。既に火葬して骨になっているペットのお骨も穴を掘って埋葬できます。
その埋葬する場所が、境内駐車場脇の大きなイチョウの木の下でした。大きな木の下ならそうそう掘り返すこともないだろうと考えたからです。
正式に『どうぶつたちのお墓』を建立
時代の流れもあり、そろそろペットのお墓を整備する必要性を感じ、このたびそのイチョウの下を整備して、『どうぶつたちのお墓』を造りました。
今までは自然そのままの埋葬場所でしたが、淋しい感じもありました。今回の整備で、『どうぶつたちのお墓』と銘した石碑や踏み石を置くことで、以前よりも格段にお墓らしいスペースになったと思います。ペットにとっての聖域に光(スポットライト)を当てることができ、埋葬される方の安心感も高まるでしょう。
これまでペットの遺骸をどのようにしているのかとお話しを聞いてみると、とても多額の費用がかかっているとのことでした。
髙願寺の『どうぶつたちのお墓』では、費用は一切かかりません(もちろん、任意のお布施をされる方はいらっしゃいますが)。対象は、髙願寺に所属している方々のペットに限らせていただいております。
髙願寺と縁ある方々にとって、ペットと同じ境内に眠ることができるということが安心につながるよう、これからも自然体でご要望にお応えしていきます。