初開催のおてら終活カフェ。士業と住職のコラボに手ごたえあり(正太寺住職・大河戸悟道)
2020.10.08
大河戸 悟道(おおこうど ごどう)
1961年(昭和36年)正太寺に生まれる。名古屋芸術大学洋画課卒業。アパレルメーカーや立体造形工房、建築関係等勤務。 2003年(平成15年)正太寺住職を拝命。以後、楽しいお寺、気軽なお寺、安心なお寺を目指し日々研鑽中。
10月5日に正太寺として初めての「おてら終活カフェ」を開催しました。
参加者は12名、内9名は初めて正太寺へ足を運んでくださった方々でした。告知は、お檀家さまには寺報を通じてお知らせするとともに、他の方々に向けては地域回覧板にチラシを入れてもらったことと、お寺のホームページで行ないました。
当日は新型コロナウイルス感染防止策として、まず3人がけの机を2人で使っていただき、受付時にはアルコールで手の消毒と健康状態問診、そしてマスク着用をお願いしました。もちろん私も講師の先生もマスク姿です。
もめごとを防ぐために公正証書遺言が大切
終活には法律や行政に関することが絡みますので、行政書士法人・中村事務所様にご協力いただき、前半の一時間お話をいただきました。
相続に関しては戦後間もない昭和23年に改正された民法がほぼそのまま現代まで用いられていて、当時の家督相続の意識が反映された制度では今日の実情にそぐわないようになってしまっていることが数々の争いを生んでいるそうです。私もいくつもの事案を目の当たりにしてきた実感をこめて、とても納得しました。
そうした中、近年になって介護に関わる人への配慮が盛り込まれた改善が行われていることなども教えていただきました。
揉め事を防ぐためには「遺言」が一番だそうですが、有効な遺言というものが実は数少ないというのです。そこでお勧めが『公正証書遺言』とのこと。お聞きの方々もみな前のめりになっていました。
その後の質疑応答の時間では、参加者から公正証書遺言を実際に作ってもらったという苦労話なども出て、大変臨場感のあるやりとりとなりました。終活の必要性を感じていただく良い呼び水となったと思います。
住職が語る葬儀の大切な意味合い
後半は住職より「葬儀」について、そもそも葬儀がなぜ必要なのか?という問いを立てて次のようなことをお話しさせていただきました。
- 「葬」という漢字の成り立ちより(草の中に死が置かれてある姿)から故人をほうむる行為であること
- ご遺体を中心に葬式は営まれ、そこには(個人的役割)(宗教的役割)(社会的役割)があること
- 「家族葬」という流行りの簡素化も良い面もあるが、大切な役割をなおざりにしては故人様のご生涯を疎かにする事にもなりかねないこと
参加者の年齢から察するに、どなたも喪主あるいは喪主の配偶者という役割の経験のある方々とお見受けしました。お葬式が自宅から葬儀ホールへと代わってくる中で、楽になったけど何となく寂しさもありますよね、と言うと大きくうなずく方が二名ほどいらっしゃいました。やはり昭和の葬儀を経験している方には、昔の賑やかなお葬式が懐かしかったりするのだと思います。
グリーフ(死別による喪失悲嘆)を和らげるには、亡くなったという事実、故人との思い出などとしっかり向き合うことが大切であることと、今日はそうした機会がお任せで葬儀が済ませられる世の中になって失われがちなことをお伝えしました。皆さんの表情を見ると、自分の経験を振り返っていらっしゃるようでした。
次回は10月22日(木)、第三回は10月28日(水)です。
予約制となっておりますので、ご興味がある方はこちらをご参照ください。