【都心のお寺で朝掃除】temple morning 体験記 – お寺が会社の福利厚生になる?
2018.04.26
この春のまいてらのテーマは “春からはじめる お寺習慣” ということで、「お寺の朝活」にフォーカスした記事をお届けしています。
編集部サノハナさんは実際に「お寺習慣」を体験するために、一週間近所のまいてら寺院を自主的に掃除をして、感じたことを寄せてくれました。
サノハナさんの発想の元となったのは、まいてら寺院である東京都港区の光明寺で開催されている『Temple morning』という会。光明寺僧侶の松本紹圭さんが主催しているこの企画は、朝7:30からの一時間お寺でお参り、お掃除、お話しをするといったもの。
「朝7:30に神谷町に集合するのがつらい」というサノハナさんに代わって、まいてら編集部が『Temple morning』を体験してきました!
Ticket to Temple Morning
『Temple morning』は特に予約や参加費などはありません。主催の松本紹圭さんのTwitterでゆるーく告知されます(笑)
少し早起きして、子どもの保育園への送りは奥さんにお願いして家を出発。通勤電車の混み具合はいつもの時間よりも二割減くらい。
光明寺に着いて本堂を開けると、既に20名近くの方が集っています。思ったより多い参加者に驚きながら着席すると、早速『正信偈(しょうしんげ)』というお経の読経がはじまります。
個人的には読み慣れたお経ですが、朝イチの発声は気持ちがいい。まだ完全に起きていない脳みそが、経本の文字を追うことで徐々に起動している感覚を得ます。
さあ、境内を掃除しよう!
本堂前のテラスで輪になって松本紹圭さんからのガイダンスです。ガイダンスと言っても、「今日は人数が多いので、ほうきを持って掃く人と、ぞうきんを持って拭く人に分かれましょう。ぞうきんはここにあります。ほうきは下にあります。」、、、、以上!(笑)
皆さんいい大人なので、たったそれだけの指示で、ささっと適正人数に分かれて各々の持ち場をなんとなく決めます。あとで、松本紹圭さんが言っていましたが、これぞ「チームワーク」。初対面の人ばかりですが、余計な言葉はいりません。このスムーズさが、なんだか気持ちいいし、うれしい。
ただ、階段を掃く
誰に指示されるでもなく、自分の持ち場はこの「階段」だと決めて、掃き始めます。
掃除の定石は、”上から下へ”だな、、、
心でつぶやきながら、最上段から一段ずつほうきで掃きながら降りていきます。サッ、サッ、サッ、、、
あれ?、掃くものがないな、、、
普段からお寺の方々がちゃんとお掃除をされているからでしょう。すばらしいことです。
しかし私は、せっかく掃除をしているのに、ゴミがないじゃないか!と、妙な気分になるのです。
虚空を掃きながら一段ずつ下がっていくと、ある段を境に葉っぱが増えてきます。
掃くものがある!(嬉)
急に葉っぱが愛しく思えてきて、もっと葉っぱが欲しくなります。
この葉っぱはどこからきているのだろう?
ふと手をとめて、上を見上げると階段の横に樹が繁っています。
この段から葉っぱが増えるのは、ここに樹が植わっているからだな、、、
当たり前の自然の仕組みに気づき、妙に納得してしまいました。
普段の生活では全く意識しないことに気付ける時間、「ゆとり」だなと感じます。
葉っぱ、見っけ!
踊り場に差し掛かり、ふとパーティションポールを持ち上げてみると、葉っぱ、見っけ!
お宝を発見したような気持ちになり、嬉々として集めます。
すると、たまたま通りかかった松本紹圭さんがニヤリ一言。
お坊さんの盲点を見つけたね
普段、境内を掃除をしているお坊さんが気付かない場所を見つけて、なんとなく「少しは貢献できたかも」という気分になれました。
そして今日もどこかのお山で修行僧たちが、作務として山内を掃き清めているのだろうと、思いを馳せます。
あっという間の掃除タイムが終了
15分ほどで掃除タイムは終了。「もっとやりたい」くらいが「またやりたい」につながって、ちょうどいいのかもしれません。
朝のお寺で社員研修
本堂に再集合をして、松本紹圭さんのお話しが始まります。
紹圭さん曰く、「今日の参加者はこれまでにないほどのダイバーシティ」とのこと。
確かに、ビジネスマン、デザイナー、社長さん、俳優さん、広告代理店の方、海外の方、そしてまいてら編集長、、、お寺の朝らしからぬ多様性です。
お寺の近所にある企業の新入社員さんも4名来ていて、社員研修の趣きもあります。
今回は社員研修バージョンのお話ということで、「どんな業界にだって、理不尽なこと・思い通りにならないことがある」という前置きから、仏教の「苦」や「縁」についてわかりやすく話してくれました。
紹圭さんのお話しのあとには、フレッシュな新入社員の4名にそれぞれの抱負を語っていただきました。
自分は本当は教員になりたかったけれど、ご縁あって入った会社で色々な人と出会って、やりたいことが変わり始めている。
という女性や
部活時代に大事にしていた4つのスローガンの中で、特に”感謝”を大事にしていきたい。
と話す方もあり、それぞれ “お寺で感じたこと” をうかがわせてくれる素敵なスピーチでした。
お寺が会社の福利厚生になる?
最後に、松本紹圭さんの締めの言葉が印象的でした。
どうしようもなくなった時は、お寺にきてください。
確かに、どう生きていたって「理不尽なこと・思い通りにならないこと」にぶつかる時はあります。そんな時に、お寺で掃除をして心にすこし「ゆとり」をもったり、お坊さんの話を聞いたり、お坊さんに話を聞いてもらったりして、「ものごとを正しく見る」ことができる。そんなお寺が近くにあったら安心です。
その言葉を受けて参加者の一人から新入社員の4名にむけて、「それはとってもいい福利厚生ですね」との声があり、どっと湧く本堂。
それは本当に、言い得て妙だと感じました。
私たちは身体がつらい時は病院に行きます。症状にあわせて様々な病院があります。しかし、心がつらくてどうしようもない時はどこに行けばいいでしょうか?
この現代社会において「どうしようもなくなった時は、お寺にきてください。」と言ってもらえること。そんな場を開いてくれている「お寺」を、まいてらではもっともっとたくさん紹介していきたいと、強く思った朝となりました。
まいてら寺院の朝掃除
朝掃除ができるまいてら寺院を要チェック! 「Temple morning」広がっています。
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