山梨発、お寺×コワーキング=「寺co-working」の試み – 西源寺(山梨県)
2019.08.02
お寺のならではの魅力を活かし、さまざまなアプローチで地域や社会問題の解決に取り組むお寺が増えてきています。
今回は働き方改革のひとつ、「在宅ワーク」や「コワーキング」に関連した取り組みについて、山梨県山梨市にある西源寺の住職、若月和道さんからご寄稿いただきました。
きっかけは「子連れコワーキング」
コワーキングってご存知ですか?
コワーキングは「Co-working」と書きます。Coは共同を、workingは仕事を意味しますので、共同の場所で仕事をするということになります。個々人で作業をするだけではなく、仕事やアイデアを持ち寄って、そこに居る人たちで話をすることで思わぬ発想や繋がりが生まれることもあります。また、PC操作の指導や仕事の相談を受けることができるのも特徴の1つです。
山梨では今、このコワーキングをお寺で開催する取り組みが始まっています。
私がお寺でコワーキングに取り組むきっかけとなったのは、LINKwith&Co(リンクウィズアンドカンパニー)の宮下代表との出会いです。
LINKwith&Coは就労困難者(子育てや介護中の方、外出がむずかしい方etc.)への在宅就労支援をしている会社で、社会からの孤立解消などといった社会課題と向き合いながら、一人ひとりのライフスタイルにあった仕事を仲介しています。パソコンやスマホを使ってできる、文字おこしやデータ入力作業、名刺管理、SNS運用代行、ロゴやラベルデザイン、チラシ作成など仕事内容は多岐にわたっています。
LINKwith&Coの取り組みの大きな柱として、子どもを連れて利用することができる「子連れコワーキング」を、毎週金曜日に南アルプス市の金丸文化学園などで開催していました。宮下代表は、子連れコワーキングを県内各地で開催したいと考えていましたが、なかなかその会場が見つからない状態でした。
宮下代表と私がおのおのやりたい活動について話をしていくうちに、お寺でコワーキングをやってみよう! となりました。
そのあとは一気に話が進み、2019年6月から本格的にお寺でのコワーキングが始まりました。
その名も、「寺co-working(テラコワーキング)」です。
孤立を防いでつながりを生む「寺co-working」
今では、山梨県内でお寺の空いている部屋をコワーキングスペースとして提供しようと、県内16のお寺が活動に賛同してくださり、毎週金曜日(都合により変更の場合あり)に各お寺をまわり、寺co-workingが行われています。
寺co-working開催時には坐禅体験や写仏体験なども同時に行い、よりお寺に親しみを持ってもらえるようなイベントも行っています。
16のお寺とLINKwith&Coが連携することにより、より効果的に寺co-workingが運営されています。今後ご協力いただける寺院様を増やしていきたいと考えています。
寺co-workingの利用者からは、「お寺という落ち着く空間や素晴らしい庭を眺めながら仕事ができて本当にはかどります」「子連れでお寺に来ることは全くなかったので、子どもにとっても非常にいい経験になります」「普段聞けない仏事のことを住職さんに相談させていただき助かりました」などという嬉しい言葉をいただいています。
在宅で仕事をすることはもちろん大切なことですが、在宅ばかりだと社会から孤立してしまいがちです。そこで寺co-workingに行くことにより社会との繋がりを感じることができ、自分自身が社会の一員であること、社会から必要とされていることを認識していただければと考えています。
お寺の空いている部屋を活用することで、お寺は本来の役割である、コミュニティスペースとして蘇ることができます。日頃お寺に足を踏み入れることがない方々が気軽にお寺の空間に身を置くきっかけにもなります。コミュニティだけではなく、新たなビジネスの発想や繋がりまで生まれる可能性もあります。
また、子ども達が広い本堂や境内で思いっきり遊ぶことができるのです。お寺で子ども達が遊んでいる光景は素晴らしいです。
お寺が人と人を結んでそこにコミュニティが生まれる。本来のお寺の姿がそこにはあります。
西源寺ホームページ
http://www.saigenji.org/
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