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お寺の掲示板が熱い! ~ 伝道掲示板に寄せる思い

2019.03.05

今、お寺の掲示板が熱くなっています。
2018年の夏、(公財)仏教伝道教会が「輝け!お寺の掲示板大賞」という企画を実施しました。全国のお寺のユニークな伝道掲示板をツイッターやインスタグラムで募集し、4ヶ月間で約700も集まったそうです。

Yahooニュースでも取り上げられるほど掲示板大賞は盛り上がりを見せ、企画者の江田智昭さんは、ダイヤモンド・オンラインでも「『お寺の掲示板』の深~いお言葉」という連載企画スタートされました。

この掲示板大賞には、まいてら寺院の超覚寺さんも積極的に取り組まれ、次の言葉で受賞もされました。


今回は、住職の和田さんから、お寺の掲示板大賞に取り組まれたきっかけや、掲示板に寄せる思いをご寄稿いただきました。

和田隆恩(わだりゅうおん)

1967年京都府生まれ。山形大学理学部卒業。証券会社で勤務。30歳で脱サラし、親戚筋の超覚寺に入寺、45歳で住職継職。遺族の分かち合いや傾聴相談など地道なグリーフケア活動を続ける。認定臨床宗教師。

超覚寺寺院ページ

お寺の掲示板は「言葉のセレクトショップ」

2018年の夏、(公財)仏教伝道教会が「輝け!お寺の掲示板大賞」という企画に応募し、昔ながらの布教法である伝道掲示板に新たな可能性を感じました。(応募のために、スマホデビューを果たしました・・・)

僧侶の本分は布教(教化・伝道)ですが、その方法はさまざまです。
お葬式・法要・法座でのお勤めや法話だけでなく、寺報・SNS等の画像や文書も、全てお釈迦さまや宗祖の御心を伝えるためのもの。
お困りの方々に寄り添ったり、子ども会やお祭りを開いたり、新聞やテレビなどのマスコミに出たりするのも、間接的ですが仏教に触れていただいていることになります。

その中で、ほとんどのお寺が行っているのが伝道掲示板でしす。
お寺の掲示板には、いわゆる「良いお言葉」が張ってあります。
そこは言葉のセレクトショップのようなもので、宗旨、宗派の違いや住職の個性がにじみ出ていて面白いです。
私が住職を務める寺は広島市の都心部に位置し、電車通りにも面しています。さまざまな世代の方々が門前を通りますが、皆さんに興味を持ってもらおうと心掛けていることが3つあります。

掲示板の心がけ1:平易な言葉で語りかける

一つ目は、仏教の専門用語(経典や高僧のお言葉)を用いず、平易な言葉でみなさんに語りかけるということです。

私がまだ在家でサラリーマンだった頃は、お寺の掲示板に全く興味がありませんでした。
ほとんどのお寺がそうですが、お聴聞していないと分からない難しい言葉ばかりで私には全く無意味なもの、まさに風景にしか過ぎなかったのが伝道掲示板でした。

十数年前に私が掲示する側になった時には、若い世代にも関心を持ってもらおうと、仏の教えに通ずるような言葉を著名人の発言やヒット曲・アニメのセリフから見出すようになりました。
また、私が言葉を考える際は、平易な表現ながら時節性や意外性を持たせ、言葉の語呂も大切にしています。
押しつけがましくならないように結論めいたことも言わず、命を慈しみ悩みに寄り添うような言葉も考えるようにしています。

なお、多くの方は、言葉そのものよりも「誰の言葉なのか」に興味があるようです。
同じ文言でも、私が言うのと樹木希林さんが言うのとでは、響きや重みが全然違います。
著名人の言葉を引用するのは虎の威を借る行為ですが、伝道掲示板に関心を持ってもらえれば願ったりかなったり!
その言葉が面白くてウケれば、その言葉を選んだ住職やお寺を身近に感じてもらえるでしょう。

あと、自分の好みにこだわらないのも大事です。
私がそれほど気に入らずボツにしようかと思った言葉が好評だったことが少なくないのです。
「輝け!お寺の掲示板大賞」で選んでいただいた言葉も、実は私のお気に入りではありませんでした…。
読み手にどう刺さるかは書き手には分からないものですね。
以前は言葉の解説も掲示していましたが、それでは私の味わいの押し売りになってしまい、読み手の感性を抑えてしまうので、止めました。

掲示板の心がけ2:短期間で張り替える

大抵のお寺は月1回の更新でしょうが、私は毎週日曜日に張り替えています。
門前は目抜き通りで通勤や通学で毎日通る方も多いので、1ヶ月張りっ放しだと関心も無くなって本当に風景になってしまうと思ったからです。
週1回で更新していけば「今週は何かな」と関心を持ってもらえ、実際にスマホで撮影しSNSにアップされる方もいらっしゃいます。
回数が増えれば、どれかの言葉がどなたかに刺さる可能性も高くなります。

掲示板の心がけ3:直筆で書く

伝道掲示板は先ず足を止めてもらって読んでもらわないと伝わりません。
街中はいろいろなものが張り出されていて、だからこそ直筆の文字は目を引きます。
上手い下手は問題ではなく、字体からにじみ出た書き手の想いが言葉に力を添え、読み手の心に響くのでしょう。
所属する宗派から掲示板用の法語ポスターをもらうこともありますが、それを別紙に書き写すだけでも味が増すというものです。

伝道掲示板は現代の辻説法

宗祖親鸞聖人の時代なら辻説法が当たり前でしたが、私にはそんな度胸も力量もありません。
しかし伝道掲示板は、私の代わりに辻説法をしてくれている分身のようなものです。

そして、お寺の近隣の方々に向けて張られていた伝道掲示板が、SNSで日本全国のみならず全世界に向けて発信されるメディアになるということが「輝け!お寺の掲示板大賞」で明らかになりました。
お寺側が意図して広報しなくても、見知らぬ誰かが勝手に拡散してくれるという可能性。超アナログな手書きの言葉がネットで伝わっていくというのも、新しい布教なのでしょうね。

2019年も「輝け!お寺の掲示板大賞」の第2回目が開催されるそうです。
もちろん今回も応募しようと目論んでおりますし、本連載(お坊さんと味わうことばの世界)にも時々ことばを投稿していきたいと思います。

お寺画像
広島市中区
林鴬山 憶西院 超覚寺
25時間366日OKの駆け込み寺

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