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昔は寺院でお酒を仕込んでいた?!湖東三山百済寺ゆかりの銘酒「百済寺樽」

2020.10.05

 滋賀県東近江市に、紅葉の名所百選にも選ばれる「湖東三山ことうさんざん百済寺ひゃくさいじ」があります。
 近江最古級の寺院で、歴史や四季折々様々な自然を体感できる名刹めいさつです。

百済寺の境内と菩提樹

 同寺には室町時代に愛された幻の銘酒「百済寺樽ひやくさいじたる」があり、400年超の時を経てこのお酒を復活させる、百済寺樽プロジェクトが進んでいます。
 この度、新型コロナウイルスの終息を祈り、清酒「百済寺樽」の火入れが蔵出しされ、百済寺に伝わる護符とともに銘酒を広くお届けされることになりました。インターネットでは限定500本の販売となります。
その概要について、本プロジェクトを主宰されている合同会社グリーンラボラトリー代表の藤田彩夏さんから、ご寄稿をいただきました。

藤田彩夏(ふじたあやか)

はちみつが好きすぎて、養蜂、農業の世界に飛び込み、地域活性化や地方創生事業、農産物販売の企画運営を行う。農村を拠点に農村部と都市を繋ぐ活動をしている。モットーは、農村部を笑顔にすること。合同会社グリーンラボラトリー代表。百済寺樽プロジェクトリーダー

百済寺樽プロジェクト

都で愛飲された清酒「百済寺樽」

 寺院で造られていたお酒の総称を「僧坊酒そうぼうしゆ」といい、近畿圏ではとくに有名な僧坊酒を造っていた寺院が4つあり、そのひとつが百済寺でした。室町時代に寺内で仕込まれた清酒「百済寺樽」は、都で重宝されていたと文献に残っています。

 お寺でお酒を・・・?と不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
 僧坊酒の起源は、神様や仏様のお供え物として醸造されたことが始まりと言われています。現代こそ「清酒」は一般的ですが、当時は大変珍しかったのです。酒といえばどぶろく、つまり白濁した日本酒のことでした。

 清酒を仕込んでいたということは、当時の最先端技術が百済寺にはあったということになります。「百済寺樽」の存在は、かつての百済寺に技術や財産、権力があったことの裏付けとも言えます。当時は中枢部に300の坊(=僧侶の住むところ)、総計1000の坊があり、少なくとも1300人以上を要する大寺院だったと伝わっています。

 そんな豊かさも1573年に一変します。
 戦国の覇者、織田信長による焼き討ち。信長公記には寺の全域を焼き尽くし、見るも無残な姿であったと書き記されています。百済寺樽の歴史も戦国の渦中に消えてしまいました。

444年の時を経て復活した二代目

 焼き討ちから444年がたった2017年に百済寺樽の時間が再び動き出すことになります。
 きっかけは偶然でした。
 地域おこし協力隊として都市部からやってきた若者が、百済寺の「いま」に魅了され、「過去」を知ったことが起因となり「百済寺樽プロジェクト」が発足します。

 自然豊かな草花や木々。
 野生動物の優雅な様。
 そして壮大な歴史を彷彿とさせる寺院の佇まいや坊跡の数々。

 都市にはない山寺の美しさに心を奪われ、歴史の扉を開けるスタートが始まりました。「百済寺樽」を復活させれば、百済寺の魅力に気がついてくれる人がもっと増えるはずと確信し、プロジェクトがスタートしました。

 お酒造りには欠かせない「米づくり」と「酒づくり」。
 地域活性化のためならと、百済寺町の農家たち(現:百済寺酒米生産組合)と、喜楽長きらくちようの銘柄で知られる喜多酒造が加わり、スタートすることになりました。
 単にお酒を造るプロジェクトではなく、「百済寺樽」を通じて湖東三山百済寺の活性化を目指すことが真の目的です。

奉納されている百済寺樽

 先に読んでいただいたように、百済寺は焼き討ちにあいました。
 すなわち、百済寺にあったであろう百済寺樽の製法は灰になり、当時の味は見当がつきません。あるのは百済寺にて出土した酒甕さかがめと、贈り物の先で愛飲されたと記された文献だけ。
 メンバーで話し合い、愛飲された過去を大事に、今回は「二代目」として現代に蘇らせようと決意しました。

元三大師の護符と共に

 二代目の百済寺樽が披露されてから今年で三年目。
 今回は、毎年ともの違い、天台宗の僧侶「元三大師がんざんだいし」の護符を添えて皆様のお手元にお届けしています。

深紅の護符が添えられている百済寺樽

 元三大師とは、平安中期に活躍した比叡山の高僧で、おみくじの創始者としてもしられています。数多くの功績を上げられたことから、百済寺も含めた天台宗の寺院で崇められているのです。
 歴史によると、疫病神を退散したときに鬼の姿となったと言われており、その姿を写しとった元三大師の版木像が百済寺に伝わっています。

 蔵出し前には百済寺のご住職に祈祷もしていただきました。
 疫病退散祈願と合わせて、たくさんの方にお酒を味わっていただけるようにと、インターネットでも販売しています。

 こんな時代だからこそ一度立ち止まって、歴史に想いを馳せ、心穏やかに過ごされてみてはいかがでしょうか?

※百済寺樽のプロジェクト概要やご購入はこちらから

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まいてら 編集部

まいてら 編集部

まいてら編集部は、まいてらの運営メンバーで構成されています。会いたくなるお坊さんの人柄、 行ってみたくなるお寺、 学んでみたくなる仏教の智慧。あなたの生活をちょっぴり豊かにする、 そんな情報をお届けします。

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