新型コロナ禍で、7月盆の棚経を終えて思うこと。お盆の風習を守っていきたい(本休寺 住職・岩田親靜)
2020.07.27
新型コロナ禍での7月お盆の棚経が終わりました。このお盆棚経で、変わったことと変わらなかったことを考えてみたいと思います。
まず、お盆の棚経が始まる前に、伺う日時調整の電話をしますが、一軒だけ千葉市在住のお檀家さんで旦那さんが東京に通勤しているため今回はお断りしたいという話がありました。通勤電車で通っているので、万が一があったらという理由でした。
7月13日に、7月盆の棚経がスタート。一軒平均15分程度のお参りになります。
私なりの感染防止対策としては、マスク着用で仏具は持参、消毒薬を車の出入りで使用します。マスク越しでしゃべるし、ソーシャルディスタンスを守ります。お茶をお出しいただくこともあるものの、残念ですがお茶はいただかないようにします。もちろん棚経中に店舗での飲食は行いません。こうすることで感染リスクを減らします。ゼロにはできませんが・・・。
お檀家さんの顔を見てお話しすることを大切にする棚経が、お茶もできないし、立ち話になるのはとても残念です。でも、少しでも「体調はいかがですか?」と聞いたり、近状報告ができるだけでも違います。
お檀家さんの中でコロナ禍の棚経に大丈夫?という感想をお持ちになり示された方は一軒ありましたが、それ以外の10軒以上で、ペットボトルではなく、普通のお茶を支度されている方がほとんどでした。多少は気にされているものの棚経で罹患するとは考えていない、せっかくの機会だから住職と話したいという雰囲気でした。三日間のうち一日は昼食(お弁当)まで手配されている家もあり・・・。お檀家さん宅での飲食は控えているため、とても申し訳なかったですが・・・。
私がお預かりしているお寺では、千葉市の中心エリアと東京は年一回しか回れないのと(地元の檀家さんは年4回)、件数も少ないので懇ろにお経も読むことを心がけています。ソーシャルディスタンスはありますが、祈りとコミュニケーションは密にしたいと感じました。
例年とは違う棚経でも相談ごとはあり、親族・友人の葬儀が続き、亡くなってからのドタバタを見て、今のうちから葬儀社を決めたいのだが、住職どうしたら、良い?という話があったりしました。具体的には書けませんが、実際に会う機会がないとなかなか話せないテーマですし、今後のことについて話し合うことになりました。
お盆は、一人ひとり・一軒一軒の思いの集合体が支える「信頼の行事」
7月のお盆棚経は気をつかいましたが、結局のところは問題なく回ることができました。8月のお盆に向けて考えるのは、急速に増えていく罹患者数との兼ね合いで今後どうするべきか悩んでいます。
従来通り、一軒一軒に伺うことができれば問題ないのですが、もし伺えない状況になった場合、檀家さん一軒一軒に電話をかけてお話をするとか、お寺で法要を行い、本堂の外で手を合わせていただくなどの方法を取るしかないのだろうかと悩んでいます。
お盆という風習は、宗教儀礼であるとともにコミュニケーションの重要な機会です。プライバシー保護が叫ばれる中で、自宅の奥へ他者を招き入れる。僧侶がお檀家さんやご信者さんの仏壇を伺う営みは、長年の信頼により成り立っている行為です。私は出来うる限りの感染対策を行いながら、この風習を守っていきたいと考えています。
お寺とは何でしょうか?一見すると建物(ハード)と考える方が多いかもしれません。その実質は檀家さん・信者さんの一人ひとり、一軒一軒の思いの集合体(ソフト)だと考えてます。お盆をはじめとした各家のお経回りは「信頼の行事」だと思います。
新型コロナ禍の中で感じるのは、つながりや共感の大切さだと思います。ソーシャルディスタンスはこれからも続きますが、心の距離をつくらない継続的で具体的な努力が必要だと感じます。
大変参考になるお話をありがとうございました
千葉県に住んでいますが、我が家にも都内のお寺さんから棚経に来て頂く予定です
ペットボトルのお茶をお出しするようにします⤵️