万博に1日だけのお寺「万博寺」現る!世界の人と一緒に日本仏教を味わおう!
2025.09.10
9/26(金)、大阪・関西万博に1日だけのお寺「万博寺」が登場します。
場所は東ゲート入ってすぐ、アメリカ館やフランス館の前のポップアップステージ。大屋根リングに登るエレベーターもあり、多くの人が行き交う空間です。
万博寺とは何なのか?具体的に何が行われ、体験できるのか?本記事では、そんな情報をご紹介します。
万博が理念とする「いのち」を多面的に見つめる時間にしたい
2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。この理念について、万博寺発起人の霍野廣由さんは次のように語ります。
「万博の理念はとても素敵だと思います。いのちに力を与えるような、とても前向きなメッセージを感じます。一方で、いのちはキラキラした側面だけでなく、いつか必ず終わるものでもあります。しかも、死は突然やってくるもので、いのちはそのような危うさを常に持っています。だからこそ、せっかく全世界から多くの人が集まる万博という場で、いのちのありようについて多面的に見る、仏教で言えば『無常(あらゆものが変化すること)』について思い起こす時間を、日本全国のお寺の有志とともに創りたいと思ったのです。」
紐解くと、万博の歴史と日本仏教の関わりは深く、1873年のウィーン万博では日本館に仏像や寺院模型が出展され、1893年のシカゴ万博の日本館外観は平等院鳳凰堂を模したものだったようです。そして、1970年の大阪万博では、日本館およびアジア各国館に仏像、梵鐘等が展示され、参拝や祈りの対象として来場者に受け容れられました。
霍野さんは次のように語ります。
「これらの展示や儀礼は、日本文化の精神性や美意識を世界に示す象徴として大きな役割を果たしました。仏像や寺院建築は異文化理解の架け橋となり、祈りや法要は国境を越えて人々の心に響きました。今回の万博寺は、その歴史を脈々と受け継ぎつつ現代の多様な仏教表現で『無常なるいのち』と向き合う場を創出します。」
「無常」をコンセプトに、法要・音楽・対話・アート等の多彩なプログラム
今回の万博寺のテーマは「あゝ無常 – 変わりゆく時の中で、いのち尽きるまで今を生きる」を掲げ、当日は仏教の根本思想「無常」を軸に、法要・音楽・対話・アート等の多様な仏教表現を融合させたプログラムが展開されます。
当日は11時から19時半まで、来場者の体験・交流を大切にした内容が企画されています。
雅楽
命告り(各宗派儀礼儀式)
漫才説法ライブ
坐禅会
生前葬セレモニー
テクノ法要・音楽ライブ
例えば、命告り(各宗派儀礼儀式)の見どころについて、企画者の松崎智海さんは、こう強調します。
「『命告り』というコンセプトは”輝くいのち”について私たち僧侶が世界に”告げる”という意味です。各宗派が”いのち輝く”ということを儀式儀礼を通して来場者とともに世界に発信していきます。独自の発展をとげてきた日本仏教の多様性を一度に見ることのできる貴重な場となると思います。」
大勢の僧侶が一堂に会した読経は、相当なバイブレーションとして来場者の記憶に残るのではないでしょうか。
そして、音という点で共通するテクノ法要や音楽ライブについて、数々のテクノ法要で多くの人を魅了してきた朝倉行宣さんは次のように語ります。
「万博寺でのテクノ法要や音楽ライブは、伝統的な仏教表現のアップデートを目指すもので、仏教の根本理念の一つ「諸行無常(すべては変化する)」を体現するものです。」
何とも意味深なメッセージですが、現地を訪れた人にこそ味わえる醍醐味があるのでしょう。
また、もう一つのプログラムの漫才説法ライブについては、永田弘彰さんは次のように魅力を語ります。
「お笑い×仏教の掛け合わせ『漫才説法ライブ』として全国より宗派を越えて8組20名が集結します。万博会場には日常的に全く仏教とご縁の無い方や外国の方も多くお越しいただくかと思います。袈裟を着た僧侶が『笑い』という手法を通じて仏教をお伝えし、会場で多くの方が笑顔で仏教を喜んでいただける時間をお届けいたします。」
お笑いの本場、大阪で開かれる万博において、お坊さんが来場者を笑顔にできるのか見ものです。
「日本仏教」が風景となる1日。ぜひ足を運んでみませんか?
当日は、なんと約250名の僧侶が全国から集まります。
僧侶の姿や役割は様々でも、根底にある思いは、1000年以上にわたって日本仏教が育んできた知恵を、人々の幸せのために届けたいというもの。万博という非日常空間の中で、袈裟を着た僧侶の姿や立ち居振る舞いを見ることで、来場者には多くのパビリオンとは違った気づきが得られるかもしれません。
暑さも多少やわらいでいることが期待される9/26(金)。可能な方はぜひ万博会場に足を運んでいただき、1日限りの万博寺を楽しみましょう!
