合葬墓とは?デメリットやメリットまとめ【現代お墓事情⑤】(森口純一・TSUNAGU代表)
2022.05.20
森口純一(もりぐちじゅんいち)
礼拝空間デザイン室TSUNAGU(つなぐ)代表。昭和41年生まれ。全国47都道府県の寺院に永代供養墓を設計。さらに永代供養墓をきっかけに参拝者目線で布教活動をデザインし、仏教伝道を基盤にお寺の存在価値を高める活動をする。
※前回記事(納骨堂)はこちら
まいてら読者の皆さん、こんにちは。礼拝空間デザイン室TSUNAGUの森口純一です。ここまで樹木葬、納骨堂のお話をしてきましたが、今回は合葬墓についてお話させていただきます。
合葬墓は別名「合同墓」や「共同墓」とも言われます。その特徴として、一つのお墓に遺骨を合同に埋葬し、維持管理(供養)をお寺や霊園に託します。合葬墓と聞くと、粗末なイメージで敬遠されがちでしたが、近年の合葬墓は、明るく清潔でデザインも様々なものがあり、イメージも大きく改善され希望する方も増えています。
合葬墓とは?どんな人がえらぶの?
家族で埋葬される従来形式のお墓を持つことで、経済的・精神的に不安や悩みを持つ方もいらっしゃいます。そんな方たちを救済するお墓として、合葬墓は期待されています。つまり合葬墓は、現代社会のお墓問題に期待されている新たなお墓の形とも言えます。
では、合葬墓を選ぶ人、そして選ばない人はどのような方々なのでしょうか?
【選ぶ人】
・お墓の継承が困難、または継承を考えていない
・お墓じまいして、先祖の遺骨を埋葬し供養をお願いしたい
・お墓に拘りがなく、自由な発想を求めている
・お金をかけたくない
・生前契約し、同じ価値観のお友達をつくりたい
【選ばない人】
・見ず知らずの方と一緒に埋葬されることを望まない
・継承者がいるので、継承スタイルのお墓が欲しい
・家族や身内から反対されている
・将来、遺骨の移動も考えている
・どこか粗末なイメージを持っている
境遇や好みによって、合葬墓に対する興味も変わってくることが分かります。
合葬墓のデメリットは何?メリットもご紹介
それでは次に、合葬墓の長所と短所はどのようなものかを見ていきましょう。
【長所】
・経済的、精神的な負担が少ない
・生前、同じ価値観の方との交流も出来る
・簡単シンプル、参拝も自由に出来る
・故人の名前を残す碑もある(それぞれ異なる)
・生前からの購入も出来る
・お寺とのご縁が出来る
【短所】(注意点)
・合葬してしまうと、遺骨の返還が不可能になる
・生前契約したが、途中契約解除しても契約金の返金が難しい
・年間管理費がかかる場合もある
・遺骨の数によって、料金が増額となる
合葬墓の価格は、数万円から数十万円と、樹木葬や納骨堂に比べても低価格なのが特長です。一部質の悪いものもありますが、近年は、維持管理や見た目、丁寧な供養、お墓として素晴らしいものが増えてきているので、生前での契約者も増加傾向にあります。
また、墓じまいや、継承者がいないために無縁墓となってしまったお墓を改葬する際の遺骨受け入れ先として、合葬墓が大きな役割を果たしています。樹木葬や納骨堂の期限付使用の場合、遺骨は全て合葬墓に埋葬されています。
合葬墓の選び方のポイント
低価格だからといって、清掃管理が不十分だったり、遺骨の扱い方が雑だったり、丁寧な供養がされていない合葬墓は、避けたいものです。
むしろ合葬墓には、管理者の姿勢がより問われるとも言えます。見た目だけではなく、管理者の宗教観が重視されます。出来ることなら、しっかりと供養をしてくれるお寺の合葬墓をお勧めします。
近年、行政が運営する公営霊園にも設けられていますが、価格が安い分、粗末で供養もしないところも見うけられます。
そしてお寺の合葬墓についてですが、お寺によっては歴代の住職の遺骨も一緒に埋葬するところもあり、故人や遺族にとっても安心出来る合葬墓などもあるようです。供養に関しての手厚さは、お寺ならではの合葬墓の特長と言えるでしょう。
※まいてら寺院の合葬墓(永代供養墓)はこちら