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「おそなえもの」を「おすそわけ」。物資の支援を通して、子どもたちと縁を結び、貧困問題に取り組む(前編)

2017.02.03

「仏教」や「お寺」と聞いて、皆さんは何をイメージされますか?

おてらおやつクラブ事務局の髙山信雄です。全国には7万を超えるお寺があります。どのお寺にも仏さまをお祀りするために、檀家さんや地域の人々から日々たくさんのお菓子や果物がお供えされます。またご自宅やご実家にお仏壇があり、いただき物や大切な品物はまず仏さまやご先祖さまにお供えし、それから自分たちが頂くという経験をお持ちの方も多くおられることでしょう。仏さまやご先祖さまを供養するための「おそなえもの」は、仏さまからの「おさがり」となって自分たちのもとへやってきます。

私たち「おてらおやつクラブ」は、お寺にお供えされる仏さまへの「おそなえもの」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、全国のひとり親家庭や子どもたちを支援する団体との協力の下、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」する活動です。おすそわけを通じ、ご家庭と支援団体との関係性の深まりに寄与し、貧困問題の解決への貢献を目指します。

「貧困=貧乏+孤立」

私たちが考える貧困とは、「貧困=貧乏(経済的困窮)+孤立(社会的孤独)」と位置づけています。おそなえものをおすそわけする物資支援に偏る経済的支援ではなく、おやつから生まれるネットワークにつながり孤立を支援していくことこそ、私たちができる問題解決の糸口と考えています。

そもそも仏教は「抜苦与楽」=「苦しみから離れる」ための教えであり、お寺は人々がその教えを学び、伝え広め、実践する場所です。「おてらおやつクラブ」の活動を通して、おそなえものやお寺にある生活用品をお送りするという物資の支援だけではなく、長年に渡り育まれてきた仏縁あるお寺が地域社会の中で苦しむ人々とどのような縁を結び、共に生きていける存在になりうるか、そのことをお寺の檀家さんや地域住民と一緒に考えていけるという、言わば「ご縁の創造」につながると確信しております。

賛同寺院は47都道府県に広がり、540ヶ寺以上

2013年5月24日、大阪市で「最後におなかいっぱい食べさせられなくて、ごめんね」というメモを残して母子が餓死状態で発見される事件が起こりました。この事件をきっかけに同年11月に2ヶ寺から始まった「おてらおやつクラブ」は、2014年1月に正式スタートし、インターネット寺院「彼岸寺」で広く呼びかけ、全国での説明会を重ねて、3年が経った現在は47都道府県540ヶ寺以上の賛同寺院が活動しています。

おすそわけする支援団体は、ひとり親家庭を支援する団体や子ども食堂、フードバンク、社会福祉協議会、児童館、養護施設、母子シェルター、塾に通えない子どものための学習支援をする団体など多岐にわたり、子どもたちを支援するネットワークも少しずつ整いつつあります。中でも事務局に寄せられるお母さんたちの「助けて!」との声を支援団体に届け、団体からお母さんへの支援がスタートする例も挙げることができるようになってきました。

支援団体の「後方支援」として

「おてらおやつクラブ」は基本的には支援団体の後方支援という立場であり、直接子どもたちと触れ合う時間はほとんどありませんが、各支援団体からこんな嬉しいお声も届きます。

いつもおやつをありがとうございます。受験シーズンで甘いものが重宝します。これで勉強がもうひとふんばりしてくれそうです!!

みんなポケットいっぱいにおやつを詰めていきます。「家には弟がいて、お母さんもいる。みんなに分けたい」と言って持っていく子もいます。

継続的に送ってもらうことで、見守られていると実感します。お手紙の一言で安心することができ、子どもと一緒にとても感謝しています。

このような感謝の言葉を頂戴することは私たちの励みになり、活動の原動力となっております。

(後編を読む)

(おてらおやつクラブ事務局 髙山信雄)

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