千日間のお祈り「千日祈祷」を発願しました(長谷寺住職・岡澤慶澄)
2020.08.28
岡澤慶澄(おかざわけいちょう)
昭和42年長野県生まれ。平成4年、真言宗智山派総本山智積院智山専修学院卒業。平成19年より長谷寺住職。本尊十一面観音の本願である慈悲心を、「いのり・まなび・であい」というキーワードに活動している。
はじめに 「千日祈祷」発願の経緯
来る令和5年(2023年)は、真言宗の宗祖弘法大師空海さまのご誕生1250年を迎えます。
そこでこの尊い仏縁に当たり、長谷寺の本尊十一面観世音菩薩の供養の法である「十一面法」の一千座の修行(=1,000回の祈祷を行うこと)、「千日祈祷」を発願いたしました。
令和2年8月4日(旧暦・6月15日弘法大師誕生日)より令和5年6月15日(弘法大師誕生日・青葉祭り)まで延べ1,000日、一日一座この秘法を修し、皆さまのお幸せをお祈りいたします。執り行う時間は朝6時から1時間半くらいです。
十一面法は古来疫病流行の折に修される真言密教の秘法
この「十一面法」とは弘法大師が伝えられた真言密教の秘法であり、本尊十一面観世音菩薩を供養し、その大悲の妙智力によって「除災・除病・滅罪・福徳・長寿」の功徳を授かる法であり、古来疫病流行の折、修されてまいりました。
十一面観音さまは、いろんなお姿に身を変じて人々を救われる観音さまの中でも、特に日本において信仰を集めてまいりました。国宝などの文化財が特に多いのも十一面観音さまですので、昔の人々が思いを寄せ、深くおすがりしたのでしょう。
十一面という11のお顔は、すべての方向をご覧になり、漏らすことなく人々を救いたいという大慈大悲の誓いの姿。その慈悲の力がこの世に顕れることを願って、一心にご供養讃嘆してお祈りするのが「十一面法」という修法です。
「千日」の奉修は長谷寺開基「白助の翁」の縁起にある「千日の祈り」にちなみ、千の祈りを本尊十一面観世音菩薩さまに捧げます。檀信徒や地域の皆さまの現世と後世の二世安楽の福徳を願うとともに、世界の平和と疫病(新型コロナウイルス等)退散、災害の撲滅を祈るものであります。また人々の罪を清める「悔過の法」としても知られます。
参拝結縁の皆さまも、この千日祈祷の奉修期間中(令和2年〜令和5年6月15日)一日でも多くお参りしましょう。
まだ始まって20日ちょっとです。「先は長い」とは思いますが、一日一日、一座一座、一念一念に、祈りを込めて、皆さまの安らぎを念じてまいりたいと思います。