お寺の納骨堂を検討したい!相場やメリット・デメリットを徹底解説!
色々なサイズが選べる覚王寺(北海道札幌市)の納骨堂
近年、納骨堂が人気を集めています。天候に左右されずお参りできることや、掃除などの手間もなく、お墓の管理が難しい方に選ばれています。 本コラムでは、お墓の種類の一つである「納骨堂」について、詳しくご紹介いたします。
納骨堂とは
教西寺(名古屋市)の永代合同墓は納骨堂形式
納骨堂は主に建物の中などに個人や夫婦、家族などの様々な単位でご遺骨を納められる施設および納骨スペースを指します。
納骨堂の歴史をひも解くと、家族のお墓(一般墓)が定着してきた昭和初期にさかのぼります。お墓を建てるまでの間、お寺ではご遺骨を本堂や境内の施設でお骨を一時的に預かっており、それが納骨堂の源流です。
時代が経つにつれ、核家族化で家族の人数が少なくなることでお墓ほどの収蔵スペースが不要になったり、高齢化でお墓参りがしにくくなったり、お墓の継承者が不在だったり等、様々な要因によって一時預かりだった納骨堂がお墓の代わりとして利用されるようになりました。また、費用が一般墓に比べて比較的安価なことも納骨堂の人気を後押ししています。
納骨堂の種類・費用
極楽寺(宮崎県串間市)の納骨壇
納骨堂には「ロッカー型」「仏壇型」「自動搬送式」など、さまざまな種類があり、タイプによって価格費用も異なります。
「ロッカー型」と呼ばれ、ロッカーのように並んだ棚に骨壺を納めるタイプの納骨堂です。納骨堂によっては収蔵できる遺骨の数によって大きさ・タイプが分かれていることがあります。
ロッカー型の納骨堂は近年、華やかなデザインが増えています。扉を開けると参拝用のご本尊が安置されて小さなお仏壇のようになっているものもあったり、故人との思い出にちなんだ扉のデザインにできるものもあります。ロッカー型の納骨堂は小さいスペースですが、遺骨と一緒に思い出の品々を入れられる等、個別に安置された空間で供養をすることができます。
費用が比較的安価なのもロッカー型の魅力です。地域や遺骨の収蔵数によって価格帯は異なりますが、約30~100万円が目安となるでしょう。年間の管理費が必要になるのが一般的ですので、この点も確認しましょう。
「仏壇型」は、本尊や位牌を安置した仏壇スペースがある上壇と、ご遺骨を納める下壇に分かれているタイプです。仏壇スペースの利用にあまり制約はなく、遺影やお花、お供え物を飾ったりなど比較的自由に使えるため、よりプライベート感のある供養やお参りができるのが魅力です。
また、下壇の遺骨収納スペースも2人用、4人用、6人用、それ以上など様々なタイプがあり、広い収納スペースの納骨檀は家族代々のお墓としても利用できます。実際に、先祖代々の一般墓をやめて、仏壇型の納骨堂に遺骨を移す方もいらっしゃいます。
そして、他のタイプの納骨堂と比べてスペースを要するため、費用は高めです。地域と収蔵数によって費用は異なりますが、一般的な相場が約100万円前後で、収蔵数が多い等の高いものだと200万円を超えるものもあります。納骨壇の大きさによって年間の管理費が異なる場合がありますので、しっかり確認しましょう。
近年増えたのが、「自動搬送式」納骨堂です。「機械式」納骨堂とも呼ばれます。自動書庫などの技術が活用され、個別のお参りスペースに遺骨が運ばれてきて、遺骨の目の前で手を合わせることができます。
一般的には費用は100万円以内におさまることが多いですが、機械のメンテナンス費用等で管理料が割高になるケースがあります。開設後数年が経過した後に、管理料が大幅に値上がりした機械式納骨堂も実際に存在していますので、一時的な流行に左右されず、冷静に検討することが大切です。
また、上記以外に納骨堂を選ぶ際のポイントとして、使用する期間がどのようになっているのかを確認しましょう。家族代々を想定して永代に使用できるものもありますが、13年・33年等の年回忌と連動したものや、10年・20年等の10年単位のもの等、様々あります。使用期間が更新できるかどうかも含めてしっかり確認することが大切です。
また、将来的に継承者がいなくなった際に収蔵していた遺骨がどのように取り扱われるかについてもしっかり確認しましょう。
お寺が運営する納骨堂の場合、最後に亡くなられた方が納められてから一定期間経過後に永代供養墓に合祀されることが決まっていることがあります。永代供養墓と連動した納骨堂は安心感がありますので、納骨堂の費用に永代供養墓の合祀が含まれているのかという点も含めて確認しましょう。
一般墓ではなく納骨堂を選ぶメリット・デメリット
モダンなデザインの極楽寺(北九州市)の納骨堂
納骨堂には、家族代々の一般墓とは違う特長があります。具体的なメリットを見ていきましょう。
【メリット1:費用が比較的安価】
家族代々の一般墓を建てる際には、敷地の使用料と墓石の購入費がかかります。一方、納骨堂は墓石を建てる費用がかからないため、同数の遺骨を納めることを比べた場合、一般墓よりも安価に済むケースが多くなります。
【メリット2:掃除・管理の手間が不要】
納骨堂は屋内のため、一般墓のように掃除や草抜き、墓石磨きといった作業の必要がありません。納骨堂の室内は管理者が日常的に清掃してくれます。
また、お墓参りに掃除用具を持っていく必要がないため、手ぶらで気軽に参拝できます。
【メリット3:快適なお参り環境】
納骨堂は屋内のため、季節や天候に関わらず、空調の効いた屋内でゆっくりとお墓参りできます。納骨堂によってはフリースペースもありますので、お墓参りの前後に休むこともできます。
また、都市部の納骨堂の多くは駅近の徒歩圏内にあることや、郊外でも十分な駐車場が完備された納骨堂が多いことが挙げられます。
上記のメリット以外に、お寺の納骨堂の場合、住職や僧侶が定期的に法要を行なってくれることがあります。また、仮に継承者がいなくなったとしても、一定期間経過後にお寺の永代供養墓に合祀してくれます。丁寧な供養や永代供養墓との連動性はお寺の納骨堂の安心感と言えるでしょう。
一方、納骨堂を選ぶ際のデメリットも見てみましょう。
【デメリット1:火気の禁止】
納骨堂は屋内のため、お線香に火をつける等の行為が禁止されている場合がほとんどです。したがって、屋外の一般墓のようにお線香を焚いてお参りするという雰囲気は出せません。そのため、火を使わないお香や、電子式のロウソクを使うことで代替するケースもあります。
【デメリット2:納骨数が多い場合は割高】
納骨堂は、多くの遺骨を収蔵できるスペースを確保しようとすると、一般墓に比べて割高になることがあります。比較的安価という納骨堂のメリットが活かせなくなりますので、どの程度の遺骨を収蔵すべきなのか、しっかり検討して購入しましょう。
【デメリット3:建物の老朽化】
納骨堂は建築物のため、補修や改築が必要になることがあります。長期修繕計画の有無や、将来的な建て替え時期や財務的な備え等は、納骨堂の運営管理者に事前にしっかり確認しましょう。特に機械式納骨堂は建築費や維持管理費が割高のため、持続性について十分な確認が必要です。
納骨堂を運営する主体の安心感が大切
西法寺(北九州市)の納骨堂にある休憩スペース
納骨堂には、お寺が運営する納骨堂、自治体が運営する公営納骨堂、宗教法人・財団法人・社団法人が運営する民営納骨堂があります。以下にその特徴を見ていきましょう。
【お寺の納骨堂】
境内墓地にある家族代々の一般墓の場合、檀家になる必要があります。しかし納骨堂の場合、檀家になる必要がないケースや、それまでの宗旨宗派を問わないことも多くあります(供養は運営するお寺の作法で行われる)。
【自治体(都道府県・市区町村)や公的機関が運営する公営納骨堂】
公営納骨堂には応募条件(当該自治体に一定年数以上の居住)があることが多いので、しっかり確認しましょう。抽選になるケースも多くあります。
倒産や解散のリスクがないことや安価であることがメリットである一方、設備やサービスがお寺や民間の納骨堂より劣っているケースもあります。
【民間が運営する納骨堂】
お寺から企業・社団法人などに運営委託されている納骨堂です。
民営の納骨堂は、施設によってサービスや各種条件が大きく異なるため、実際に現地確認することはもとより、契約前に細かい点まで比較検討することが重要です。
運営主体によって特徴は異なります。納骨堂を選ぶ際には、複数の物件を実際に現地で見学して比較検討することが大切です。
オススメの納骨堂
利便性の良い妙慶院(広島市)の納骨堂
まいてらとしては、やはりお寺が運営する納骨堂をおススメします。その理由として以下にポイントを挙げますが、様々な面でとてもバランスが取れ、相当な長期間にわたってお骨を預ける安心感があることです。
- 日常的に供養や清掃管理をしてくれること
- 継承者がいない場合、無縁仏にはならないよう永代供養墓に合祀してくれること
- 供養のプロであり、葬儀・法事等の相談にしっかり対応してくれること
- 住職の判断で、相談事項に対して様々な面で融通を利かせてくれること
- 納骨堂で収益性を追求しないため、比較的安価に購入できること
- 数百年にわたって続いてきた経営の継続性があること(永続性を旨とするため、リスクのある経営はしないこと)
納骨堂を検討している方は、ぜひお寺に相談してみましょう。まいてらに掲載されている安心のお寺がその手助けとなれば幸いです。