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水子供養はどのようにすればいい?お寺の選び方や供養方法、流れ

水子供養とは

 お腹の中に宿ったものの、流産や中絶、死産などによって、誕生がかなわなかった小さな命を水子と言います。そして、水子が安らかに眠ってくれるように祈る営みが水子供養です。

 元気な我が子の顔を見られなかった親の悲しみ、つらさは計り知れません。親や家族のグリーフケア(悲しみの癒し)のためにも、水子供養を行なうことは大切です。
水子供養をするタイミングも、亡くなられてすぐの方もいらっしゃれば、何年も経過した後に水子供養をされる方もいらっしゃいます。諸事情で水子供養できなかったことが長年気になっていて、ようやく水子供養できたことで一つの区切りで安心を覚えられる方も少なくありません。

 水子供養には主に二種類の方法があります。お寺にお参りする供養(来寺供養)と、自宅で供養する方法がありますが、多くのお寺の声を総合すると来寺供養が多いようです。
近年はインターネットの発達によって、お寺と自宅をオンライン(LINE、Zoom等)で接続して水子供養することにも柔軟に対応するお寺も増えてきています。

水子供養のお寺の選び方

 水子供養をお願いするお寺の選び方は、インターネット検索が主流です。水子供養を行なうのは若い方が多く、ふだんお寺とのつきあいがない方たちがインターネットで水子供養のお寺を検索しているようです。

 インターネット検索である程度お寺に目星をつけたら、実際にお寺に電話して細かい疑問点を確認されると良いでしょう。電話口の応対・口調等でそのお寺の雰囲気・姿勢を確かめることができますし、その時に感じた気持ちはお寺選びにとって大切な要素になるでしょう。

 そして、自宅近隣のお寺だけでなく、車で数時間以上離れているお寺が選ばれるケースも少なくありません。誰にも知られたくないため、あえて近くのお寺を避ける方もいらっしゃいます。距離に関係なく、ご自身・ご家族のプライバシーにとって、もっとも最適だと思うお寺を選ばれることが大切ですし、プライバシー厳守を明言するお寺も多くあります。ご依頼の際はプライバシーの取り扱いについて確認されることをおススメします。
 一方ご実家等が、先祖代々の菩提寺とのお付き合いがある場合、後々のことも考えて、まずはその菩提寺にご相談されると良いです。菩提寺が遠隔の場合は、自宅近隣の他寺院でご供養をされることを推奨する場合もあります。

水子供養の進めかた 申し込み・服装・持ち物・お布施など

 供養をしてもらいたいお寺が決まったら、具体的にはどのように水子供養を進めていけばよいのでしょうか。

【申し込み】
 まずは電話やメールで供養の日を予約します。いきなりお寺を訪問してしまうと、住職がいなかったり、他の方の供養や法事で待たされてしまったりすることもあります。また、しっかりと時間を設けてもらうことで、お母さんやお父さんも気持ちを落ち着けて供養にのぞめるでしょう。
 週末の日中は檀家さんの法事等で埋まっていることが多いので、早めの予約がおススメです。また、人に見られたくないことから、あえて人気の少ない平日の夕方等を希望される方もいらっしゃいます。

【服装・持ち物】
 服装は基本的には自由です。とはいえ、大切な赤ちゃんの供養ですから派手ではなく、整った清潔感のある服装が好ましいでしょう。祈りのための法具として、数珠を持っている方は持参しましょう。
 お寺によっては、水子のエコー写真を一緒に供養するお寺もありますので、持ち物の一つとして確認しましょう。供養の後、自宅に持ち帰ることもできますし、心の負担になるというのであればお寺で引き取り、後日にお焚き上げされるお寺もあります。

【お布施】
 お布施の金額はさまざまで、一般的に5千円から3万円までお寺によって幅がありますが、大体1万円前後に設定しているお寺が多いようです。
 ただし、お布施はあくまでも「お気持ち」です。自分なりに丁寧に供養できたと思えることが大切ですので、経済的に厳しい状況の方は、失礼には当たらないので、まずはお寺に相談してみることをおススメします。
逆に、手厚く供養してほしいからもう少し包みたいと考える方もいらっしゃるでしょう。いずれにせよお布施の金額にかかわらず、水子供養をお願いできるお寺は丁寧に供養されるので、精一杯ご供養できたという気持ちを大切にしていただくのがよいでしょう。
 また、水子供養だけでなく、永代供養やお墓への納骨、お守りなどを希望される場合、別途費用がかかることもあります。お寺に確認しましょう。

【浄土真宗寺院の場合】
 浄土真宗のお寺では、宗派の教えから水子供養という法要は本来行なわれません。浄土真宗では、この世に生まれた命は水子だろうとそうでなかろうと、阿弥陀仏が等しく救うと説くため、水子を特別視することもありませんし、遺された家族の供養がなくても、きちんと阿弥陀仏が水子を救っているという考え方に基づくからです。
 しかし、浄土真宗のお寺であっても、小さな命を亡くして苦しんでいる方が実際に目の前にいる時に、その苦しみに寄り添うのは当然と考えるお寺は少なくありません。そのため、大々的に水子供養を掲げはしないものの、相談された際は心を込めて読経する寺院があります。

供養後の、水子の命との向き合いかた

 お寺での供養が済んだら、ご自宅やふだんの生活で、どのように水子の命と向き合えばよいのでしょうか。これについてはどの僧侶も口をそろえて、お母さんやお父さんの心の負担にならないことが最優先だと言います。

 多くの寺院では境内にお地蔵さんや観音さんが祀られています。錫杖を持ち子どもたちを鬼から救う地蔵菩薩、赤ちゃんを抱っこして妊婦の安産を守る子安地蔵尊、子どもたちの母親代わりとなる慈母観音など、色々なお地蔵さんや観音さんがいます。
お地蔵さんや観音さんへ静かに手を合わせるだけでも、水子の旅立ちと幸せを願う立派な供養になります。お母さん、お父さんの気持ちにしたがい、無理がない時にお参りされてはいかがでしょうか?

 また、まいてら寺院の真言院(北海道)では、水子供養の授与品としてお札やお守りを授けますが、1年をめどにお寺に返納するよう勧めているそうです。
「強制ではありませんし、もちろん1年で供養が終わるということもありません。でも、お母さんやお父さんがいつまでも悲しみに引きずられることなく、少しでも前を向いて生きてほしい、安心してほしいという想いから、あえて区切りの期間を設けました」と真言院の佐藤住職は言います。
 返納されたお札やお守りは、お地蔵さまに感謝の奉告をした上で、お焚き上げをします。また授与品とは別に、自宅にお祀まつりできるかわいらしい木彫りのお地蔵さまを買って帰る人も多いとのことです。

お坊さんが断言。水子の命に罪やたたりなんて絶対にない!

 亡くなった赤ちゃんの命については、さまざまな俗信も広まっています。「親より先に亡くなった子は罪」「水子の魂は汚れる」といった類のものです。しかし、まいてら寺院のお坊さんたちは口をそろえて「そんなことはない」と断言します。亡くなった赤ちゃんに対して、ご自身に合った形で手を合わせることが何よりの供養でしょう。

「私たちの命は仏さまの世界からこの人間界にやってきて、修行を積んで、苦しみのない世界を目指します。誰もがこの世に生まれ、やがて亡くなる。
その事実があるだけで、命の長さは関係ありません。仏さまは慈悲にあふれるもの。罪やけがれやたたりなど、絶対にありません」(雲晴寺・五十川住職)

「どんな命であれ、阿弥陀如来さまのお力によって極楽浄土に往生できます。罪や汚れなんてありませんよ。
それでも心に引っ掛かりがあるという方は、とにかく毎日手を合わせて、お子さんの命を大事にしてほしいです。お経を読めなくても、仏壇がなくても、とにかく手を合わせてほしいです」(林正寺・橘住職)

「亡くなった赤ちゃんは悪い子じゃありません。近くにいてくれるし、あなたの味方になってくれます。たたりなんて絶対にないですから安心して明日を暮らしてください。
水子で悩んでいる人は、いろんな想いを抱えてお寺に来てくださるし、来るまでにも相当悩んだはずです。私は何があろうと、たくさん傷ついたご両親を追い詰めたくないですし、とにかく安心してほしい。
信仰心も大切ですが、とにかく生きている人が幸せでいてくれることが大切なんです」(真言院・佐藤住職)

 今まで何もしてこなかったと悔やまれて、時間が経ってからお寺に供養でお参りされる方もいらっしゃいます。供養に早い遅いはありません。供養をしたいと思った時こそがベストなタイミングです。
お母さんお父さんの心が救われることが、亡くなった赤ちゃんにとっても幸せですし、水子の存在がお母さんお父さんの生きる力になってくれるはずです。

 水子のことで悩んでいる方、苦しんでいる方は、ぜひお寺に相談してみましょう。まずはインターネットや電話で、あなたの心に寄り添ってくれそうなお寺を探してみてはいかがでしょうか。まいてらに掲載されている安心のお寺がその手助けとなれば幸いです。

まいてらの水子供養コラム
お坊さんが語る水子供養とは。小さな命とあなた自身の安心のために。【教えて!お坊さん】

「水子供養」に関する寺院一覧

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