盛り上がる対話。戒名カフェが良き人生のきっかけになってほしい(松村妙仁・壽徳寺住職)
2021.10.19
戒名(法名)についてみんなで考える、「戒名カフェ」~わたしの戒名を考える 第1回目が、10月10日(日)にオンラインにて開催されました。当日の様子について、松村妙仁さん(壽徳寺住職)がレポートを寄せられました。
松村 妙仁(まつむら みょうにん)
大学進学で上京。卒業後、音楽教室運営やコンサート・イベント企画運営会社に就職。 先代住職であった父の死や東日本大震災をきっかけに、福島に戻ることを決意し、仏門へ。 2015年11月、壽徳寺住職拝命。
初回の不安も吹き飛ぶほどの盛り上がり。参加者の満足度も高い
戒名についてのオンラインイベントということで、どんな内容なのか、怪しい会なのではないか、不安な気持ちでご参加された方もいらっしゃったかもしれません。運営側の私達も、お申し込みのみなさまがどんな想いを抱えてご参加されたのか、どんな質問が出るのか、ドキドキしながら当日を迎えておりました。しかしながら、そんな不安も吹き飛ぶように、当日はご参加のみなさまと共に温かい時間となりました。
当日の進行は、参加僧侶・運営側からひとこと挨拶の後、戒名・法名についての基礎知識の解説、その後小人数(4-5名)のグループ質問へと流れてゆきます。オンライン開催ということで、全国各地からご参加いただき、日頃聞けない質問などが多く寄せられ、各グループでは時間が足りないほど盛り上がっていました。
実際にアンケートでは、全員が「有意義だった」とご回答いただきました。
「どこに聞いたらいいか、そもそも聞いてもいいことなのか、でもいつか聞かないといけないのに、と思っていたことを率直に聞けました」
「気になっていた戒名について、知ることができた」
「親身になって話を聞いていただき、ありがたかったです」
良好なご評価をいただき、運営一同としてもホッとしております。
グループ質問で広がる話題。戒名以外にもお墓、お布施など
グループ質問の時間では、戒名以外でも、お寺のこと、お墓のことなどご相談も広がりました。
例えば菩提寺との関係性のこと、家の宗教と自身の宗教観の違いについて、墓じまいについて、ペット供養について、お布施についてなど。初対面の方がほとんどの状況でしたが、忌憚なくお話くださったのも、「まいてら」ならではと思います。
また、悩みを打ち明ける、安心して相談できる場、気軽に相談できる場が少ないということも実感します。一方で、コロナによって様々なオンライン講座、勉強会や体験会なども日常になってまいりました。リアルに会う有り難さも日々実感しますが、オンラインという気軽さと地域や周りの目などを気にせず、話せる場、相談できる場が広がったことは大きな価値ではないかと考えています。
今回は、お戒名について一緒に考える場でありますが、不安やお悩みを抱えていらっしゃる方のなにかきっかけの場、入口のひとつになってくださればありがたいです。
戒名カフェをきっかけに、よりよく生きるための繋がりを感じてほしい
私は、8年前に出家した際、師僧から妙仁という僧侶の名(戒名)を授かりました。非常に優れているという意味である「妙」と俗名の一文字である「仁」で妙仁です。
どんな意味を込めてこの名を授けてくださったのか、師僧は他界し今では聞く事ができません。ですが、この名に込められているだろう想いを胸に、困った時には、師僧ならばこんな時にどう考え、どんな行動をするだろうといつも考えています。戒名が、師僧からのエールのように思え、妙仁という名と共に生きることが、私の支えのひとつになっています。
戒名・法名についても考え方、捉え方もさまざまです。ですが、この戒名カフェをきっかけに、よりよく生きるためのなにかの繋がりや手がかりを感じてくださればと思っております。
戒名カフェは、今後もオンラインにて開催いたします。戒名と聞くとちょっと敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、お茶を片手に気軽に僧侶とお話できる会としてお越しください。みなさまのご参加お待ちしております。