わたしの “いのち”観

死を想って生きること

【松本紹圭さん(僧侶)の“いのち”観】 – 無数の問いを「物語」に預けて –

2017.09.13

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僧俗問わず、各ジャンルで活躍されている多彩な方々に、ご自身の“いのち”観をまっすぐにお聞きしていくこの連載。今回ご登場いただいたのは「まいてら」の運営母体である「一般社団法人お寺の未来」の理事であり、「未来の住職塾」塾長であり、浄土真宗本願寺派寺院・神谷町光明寺の僧侶でいらっしゃる松本紹圭さん。数々の革新的なアイディアで仏教界に大きな変化をもたらし続けている松本さんの“いのち”観は、やはり、とてもクールでありながら、宗教的な「物語」の存在理由を根本から説明してくださるような、静かに「アツい!」ものでした。どうか最後までおたのしみください。

松本紹圭(まつもと・しょうけい)

1979年北海道生まれ。東京神谷町・光明寺僧侶。未来の住職塾塾長(一般社団法人お寺の未来)。武蔵野大学客員准教授。東京大学文学部哲学科卒。仏教ウェブマガジン『彼岸寺』(higan.net)や、お寺カフェ『神谷町オープンテラス』を企画。2010年、ロータリー財団国際親善奨学生としてインド商科大学院(ISB)でMBA取得。2012年、住職向けのお寺経営塾「未来の住職塾」を開講。以来、計420名を超える意識の高い若手僧侶が「お寺から日本を元気にする」志のもとに各宗派から集い、学びを深めている。2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leaderに選出される。『お寺の教科書-未来の住職塾が開く、これからのお寺の100年-』(徳間書店)他、著書多数。

大きな悲しみに直面したとき、人間は「物語」を求める

――人は死んだらどうなると思いますか? というところから、松本さんの死生観をお聞かせいただきたいと思います。

誰か近しい人が亡くなったら、とにかく悲しいですよね。その人との関係性や状況によっては、耐えられないほど悲しいこともある。そのときに、やはり、人間は、なんらかの物語を求めずにはいられなくなるのだと思います。僕もそうです。

――「物語」ですか。

耐えられないほどの苦しみに直面したときには、さまざまな個人的な問いが浮かんできます。それを受けとめてくれる物語が必要なんです。いくら普段から「人間は死んだら無になる」とか、「人生に意味なんかない」とか、観念的に「生」や「死」について答えを出しているような人でも、いざ、大きな悲しみを前にすると、「どうしていまのタイミングで亡くならなきゃいけなかったんだろう」とか、「あの人はどこへ行ってしまったんだろう」とか、「ちゃんと救われているのだろうか」とか、問うても仕方がないような問いが、無数に浮かんでくるわけですよね。

――はい。私にも経験があります。

大きな物語が「どうしようもない問い」を受けとめてくれる

問いを浮かべることは、やめようにもやめられないものです。故人が、遺された者にとって受けいれづらい亡くなり方をした場合には、特にそうだと思います。そんなとき、僕の場合は、南無阿弥陀仏の物語がはたらいてくれています。この物語は、ずっと昔から、数え切れない人々がどうしようもなく問うてきた、ありとあらゆる種類の問いを受けとめてきた、大きな物語ですよね。その事実自体に、なにか、救われるような気もしますし。大丈夫だな、と思えると言いますか。

――そういった実感をお持ちなのですね。

こういう、やむことのない、どうしようもない問いが出てくること自体、問題ないんだ、大丈夫なんだ、と思える。そういう感覚ですね。出てくるものを無理に抑えつける必要はまったくないんだ、と。そう思えたら、自然に、そういった問いもやんでいきますし。

その人にとって「はたらいてくれる物語」であればなんでもいい

――しかし、数ある物語の中で、どうして松本さんは「南無阿弥陀仏の物語」を選ばれたのでしょう?

「乗り物」となるべき物語は、実は、どのようなものであってもいいと思っていて。物語は、結局、どこまで行っても物語に過ぎないわけですからね。その人にとって、はたらいてくれる物語であれば、なんでもいいんだと思いますよ。自分の死生観にもとづいて、オリジナルの物語をあたらしく創るのも良いでしょう。

――なるほど……。

でも僕には、そんな創作力もないですし、第一、面倒くさいです(笑)。僕自身は、祖父が浄土真宗のお寺の住職だったというご縁もあり、過去から受け継がれてきた南無阿弥陀仏の物語に身を預けています。いざというとき、それが実際にはたらいてくれているので、それでもう、十分なんです。

――そうなんですね。本日は興味深いお話をありがとうございました。

※こちらの連載はTemple Webとの連動企画です。「松本紹圭さんとの対話/今、いのちがあなたを生きている」もあわせておたのしみくださいませ!

※松本紹圭さんゲストのTempleも、どうかお見逃しなく!
【10/4(水)】Temple@神谷町光明寺(ゲスト:松本紹圭さん)

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小出遥子

小出遥子

1984年生まれ。新潟県出身。早稲田大学第一文学部日本文学専修卒業。編集プロダクション、美術系専門図書館勤務を経て、現在はフリーランスの編集者・文筆家として、仏教系テキストを中心とした編集・執筆活動を行っている。いのちからはじまる対話の場「Temple」主宰。

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