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お寺・お墓・法事は家族をつなぐ大切なカタチ – 神奈川県川崎市中原区・髙願寺の門徒さんに聞く

2017.02.23

神奈川県川崎市中原区 浄土真宗本願寺派 髙願寺の門徒さん (注:浄土真宗での檀家さんの呼称) の、お宅にお邪魔して「お寺のある生活」についてうかがいました。

うちのお墓はいつもピカピカ

穏やかな雰囲気の皆さん

髙願寺からは少し離れた、横浜市港北区にある井上様のお宅を訪ねると、井上伊都子 (いのうえいつこ) さん(写真中央)が優しく出迎えてくださいました。同席してくださったのは千葉県に住む井上さんの長女、岡田裕美子さん(写真左)とご主人の岡田広さん(写真右)。
案内された和室には大きく立派なお仏壇がありました。飾られている写真は、もうすぐ三回忌を迎えるという伊都子さんのご主人、井上之雄 (ゆきお)さん。祇園祭で撮影された、在りし日の之雄さんです。

京都で生まれ育った之雄さんの実家は熱心な浄土真宗の門徒さん。之雄さんのお父さんは、お寺の総代をつとめるような方だったそう。之雄さんもその影響でお墓をとても大事にしていました。仕事の都合で東京周辺に引っ越さなければならなくなっても、新幹線の駅近くに居を構え、お墓の掃除のために京都へ帰ることもあったとか。

伊都子さん「井上家のお墓はいつもピカピカなんです。主人はお墓も両親もすごく大事にしていました。」

まずは、お墓を探した経緯からお聞きしました。

ホームページから伝わってきた「あたたかさ」

伊都子さん「お墓まいりの度に京都にいくのは、元気なうちはいいのですが、主人も80歳になる頃から心臓が悪く手術をすることになりまして、、、」

之雄さんにとっては苦渋の判断だったことでしょう。娘さんたちのご家族も千葉や東京で暮らしていることから、お墓を移すことに決めたそうです。

裕美子さん「父と一緒にインターネットで検索しました。検索キーワードは ”浄土真宗 港北区” とか色々入れてみて、最初に候補にあがったのが髙願寺さんでした。他にもいくつかのお寺のホームページを見比べたのですが、髙願寺さんは丁寧に作られていてあたたかい印象があり、早速父と見に行きました。
そしたら境内がすごく素敵で!いつもお花が咲いていて、お堂も素晴らしいですし。ヨガ教室など色々な催しをされているのも、地域に密着していると感じました。
宮本住職からは、色々なところを見てゆっくり選んでくださいと言われたのに、父はすぐに決めてしまいました(笑)」

伊都子さん「主人は、ものごとをさっさと進めたいという性格でしたので(笑)」

何でも話せて、「形見」を託せる関係性

生前の之雄さん(京都にて撮影した写真)

お寺が髙願寺に決まって安心していたという之雄さん。亡くなる直前に、髙願寺に「あるもの」を託したそうです。

伊都子さん「主人も私もメダカが好きで飼っていたのですが、主人が亡くなる前にメダカをどうしようということになって、髙願寺さんにお願いしようと(笑)」

裕美子さん「父からよろしくと、と言って、髙願寺さんにメダカをつれていきました(笑)」

之雄さんが亡くなる直前のエピソードながら、なんとも楽しそうに話されています。之雄さんの 「形見」ともいえるメダカを託せる信頼関係がうかがえます。

やがて、残念にもその生涯を閉じる之雄さん。ご葬儀はどうだったのでしょうか。

広さん「葬儀の間、宮本住職がずっと一緒にいてくだり、色々とお話をしました。年齢も近く、お互いの子供のこと等、共通の話題もあったので話しやすかったです。宮本住職の持つ雰囲気や私たちに接する態度は、今の時代にあっていると思います。
また、法名(注:浄土真宗における戒名)に「澍法(じゅほう)」という言葉を入れていただきました。説明を聞き、ありがたい言葉だと思ったのですが、その次のお正月の法要のご挨拶で「去年こだわっていた言葉がある」と言って、他のご家族もいる前で「澍法」をご説明されたのです。後々も「澍法」という言葉を大切になさっている様子が伝わってきて嬉しかったです。そういう心遣いや配慮に、宮本住職の人柄の良さを感じました。」

毎朝、法名をとなえる井上家の習慣

もうすぐ三回忌を迎える井上家。日々の生活の中で、どんな時に之雄さんを思い出すのでしょうか?

京都から運んできた井上家のお仏壇

伊都子さん「朝起きたら、仏様(仏壇)におまいりしています。「今日もよろしく」とお願いして、出かける時は必ず「いってくるわね」帰ってきたら「ただいま」と言います。それは毎日やっています。」

裕美子さん「私は今住んでいる千葉でも、おじいちゃん おばあちゃん お父さん おはようございますと法名を唱えて、南無阿弥陀仏と言っています。」

伊都子さん「法名は私の実家の祖父母の法名も含めてみんな覚えていますね。 」

広さん「私は法名を唱える習慣はなかったのですが、名前と法名をちゃんと呼びかけなければいけないという作法を妻より教育されました(笑)」

裕美子さん「子供たちもちゃんと法名を言えます。お墓まいりしても法名を唱えないと伝わらないからねと教えてあります。」

広さん「私たち一人一人に名前があり、死んだ人には法名があるのですから、呼びかける癖をつけるというの確かに大事だと思います。それによって存在感がでますよね。」

次は自分の番と思って、お墓の掃除をしています

今後、井上家のお墓をどうしていきたいか?今のお考えを尋ねてみました。

伊都子さん「今度は自分が入る番だなと思っています(笑)本当に。
若い頃からご先祖のお墓と思って掃除をしていましたけど、主人が入って次は私だなと思いながら掃除しています。お墓も大事ですが法事も大切だと思うので、早めに予約をして、欠かさないようにしていきます。」

裕美子さん「私の息子二人は、小さい頃からお墓まいりをしっかりやっているので、お墓をみていくのは当たり前のことと思ってくれています。いつも、「(ご先祖様に)守っていただいてありがとう」という気持ちで、掃除をしていますね。」

広さん「掃除は徹底的にやっています(笑)よそのお墓には絶対に負けたくないという気持ちで、墓石の上からぞうきんで汚れを拭き取ったり。お墓まいりの度に徹底的にやります。」

伊都子さん「やはり汚いと気になるので、お墓まいりの時は低い靴を履いて少し高いところまでのぼって、墓石と一緒に倒れないように気をつけてやっております(笑)」

カタチがあるからこそ、大切な機会がうまれる

まさに「お寺のある生活」をおくっている井上家・岡田家の皆さんですが、最後にまいてら読者へのメッセージをお聞きしてみました。

広さん「お寺とお墓の両方があってこその意味合いがあると思います。お墓を代々繋いでいくというカタチが大切で、カタチがあるからこそ縁のある人々があつまる機会になる。今の時代は新しい供養の形式や、様々な価値観がありますが、やはり「お寺・お墓・法事」というひとつのカタチを、日本人の習慣として心がけていくべきではないでしょうか。そうしないとより一層、皆がバラバラで殺伐とした世の中になってしまいます。子どもをうまく育てられなかったり、貧困の問題などがニュースになっていますが、ひとりで悩みを抱えずに親戚縁者や地域の人たちに相談できる「拠り所」があることが大切です。そのための「法事」であり、「お墓」であり、「お寺」ならではの役割があると感じています。」

お仏壇の前で輪になってお話しした、和やかなインタビューも終わり、之雄さんにお線香をあげさせていただきました。インタビューに快く応じてくださったお礼を伝えると、伊都子さんが「主人もきっとよろこんでいます」と笑ってくださいました。ありがとうございました。

お寺画像
神奈川県川崎市中原区
覺王山 髙願寺
川崎最古の寺子屋発祥のお寺

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