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お寺の乳がん啓発 - 最明寺ピンクリボン運動

2018.11.29

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埼玉県川越市の最明寺では、乳がん啓発のピンクリボン運動を、去る10月に約1ヶ月間(10/1-10/28)実施しました。
お寺の空間と、お寺に集う様々なご縁が融合したとても意義のある取り組みで、期間中はYahooのトップニュースにも取り上げられ、大きな反響がありました。
今回の取り組みの背景や、思いについて、最明寺副住職の千田明寛さんよりご寄稿いただきました。

がんの早期発見の大切さに気づいたことがきっかけ

私自身が、臨床宗教師として埼玉県内のがん緩和ケアセンターに出入りするようになり、終末期の患者様と接する機会が出来ました。
ここは余命2週間ほどの人が最期にやってくる場所だそうです。死を受け入れて静かにその時を待つ方も居れば、既に意識がほぼない方、苦しそうにもがいている方、様々な方がおります。
その中で、何人かの「もっと早くがんの検診に行っていけば良かったのに」と言われる方に接する機会がありました。家族の話が出ると、「まだ死にたくない」と涙する姿に胸が詰まりました。

また、病院のナースの方からがんの末期症状について聞く機会もありました(例えば女性の乳がんは最後は乳房がただれ落ち、辺りに異臭が漂うようです)。同時にがんという病は早期発見・早期治療が何より大切であることも臨床宗教師になってから学んだことです。

この経験を通じて、私の中にがんに対する意識が強く芽生え始めました。何か僧侶として、寺院として「がん」の早期発見や検診への啓発でお役に立てることはないだろうかと思い、建物を照らすことで啓発に繋げられるピンクリボンならば、自分にも出来るのでは思ったのが始まりです。

お寺の空間とイベントを活用し、乳がん啓発につなげる

私の住んでいる川越は人口35万人の中都市で、同時に埼玉県有数の観光地でもあります。寺院の数は72と他の県内の都市に比べて圧倒的に多い寺町です。
このような中で、建物(本堂)をピンクに照らせば、きっと多くの人の目に留まり関心を惹き、ピンクリボン(乳がん啓発運動)について知ってもらえると思いました。視覚から興味を持ってもらい、乳がん検診の意識を高めようとの狙いがありました。

加えて、27日のイベントにおいてはヨガやハンドセラピーワークショップ、JAZZコンサートなど、寺院の敷地を使って出来る一般人気が高いイベントを開催し、お寺に足を運んでもらうことで乳がんの啓発に繋げたいとの狙いがありました。

多くの関係者とご縁を結び、活動に巻き込んでいった

まずは日本でピンクリボン運動の先駆けと言われる認定NPO法人J.POSHに依頼して、オフィシャルパートナーにしていただきました。これにより、知識のある専門の方々に相談でき、資料や配布用の乳がん検診のパンフレットをいただくことが出来ました。

最明寺公式キャラクター_さいみょうちゃん

また、私自身が僧侶をやる中で「お寺を通じて地域の人々と協力して街を元気にしたい」とのコンセプトがあります。
これは私の宗派・天台宗の「一隅を照らす」の精神が根底にあります。そのため普段から商工会議所やJC、観光協会にも加盟して異業種の方々との付き合いを大切にしています。お寺だけ、僧侶だけで出来ることには限界があると思うので、なるべく地域の人と連携をして活動を展開していくようにしています。そうすることでより高い宣伝効果も生まれ、啓発に繋げられると考えます。
フライヤーの設置等だけではなく、具体的にはイベントにヨガに使うロウソクは和ろうそく屋にピンクで作ってもらい、イベントの参加者に振舞うお菓子も特別にピンク色の饅頭にしてもらい、お花屋は当日参加者全員にピンクのガーベラを一輪ずつ渡す等の異業種とのコラボレーションを意識しました。

また、地元のガンサバイバーと医師から構成される団体にも協力してもらい、活動の趣旨説明をしに様々な他のピンクリボン関係の会場を回りました。多くの人を巻き込むのは、お寺は何も先祖供養のための場だけではなく、こういう活動も出来るんだというのを地域に浸透させたいという思いもあります。

充実した内容の最明寺Pink Ribbon Festival


【本堂の夜間のライトアップ(10/1~10/27)】
川越に一級建築士の集まりの「蔵の会」という会があり、そこに照明の配置やライトアップの設計をお願いしました。社会奉仕の活動ということもあり費用は大分安くしていただきました。

【川越の女性達が中心となった最明寺Pink Ribbon Festivalの開催】
チャリティーJAZZライブ、ハンドセラピーワークショップ、チョークアートワークショップ、坐禅とヨガの4つのイベントを一日完結でお寺を使って開催しました。全てチャリティーのイベントになります。ここで集まった金額の一部はJ.POSHのピンクリボン基金へと寄附されます。

4つのイベントで実際に「がん」に関係するのはヨガだけになります。ヨガ講師の鈴木先生は市内の病院でガンサバイバー向けにヨガを教えている先生になります。4人中3人が川越出身で活躍されている方です。

メディア取材や多くの来場者。とても大きな反響があった

地元の記者クラブにプレスリリースをつくって投稿したのをきっかけに、朝日新聞、毎日新聞、時事通信、テレビ埼玉、ケーブルテレビ、中外日報など多くのメディアが取材に来てくれました。そこからインターネットを通じてYahooニュースとLINEニュース、さらにInstagramとTwitterへと波及し大きな話題を呼びました。

最明寺は観光寺院ではないので、参拝者は基本的に檀信徒の方のみですがイベント中は毎日百名近くの人が撮影に訪れていました。27日のイベント当日は、ジャズが70名、坐禅とヨガが20名、ハンドセラピーとチョークアートがそれぞれ10名ずつの盛会となりました。

檀信徒の方も居れば、一般の参加者も居て、ガンサバイバーや、家族がガンで苦しんでいる方、実際に乳がん闘病中の方など様々な人が居ましたが、多くの人がイベントそのものに癒され楽しんでくれたのが良かったと思います。
乳がんは女性だけのものと思われがちですが、男性もなる病気です。今回は男性の参加者も居ました。地域の人々にも「お寺がこういう活動をするなんて頼もしいです」「実際に乳がん検診に行きます」と言っていただけたのが嬉しかったです。
今回の活動を通じて集まった募金は全部で「56,657円」になりました。

次年度以降も、より充実した活動として継続したい

初年度の取り組みで予想以上の反響をいただいたこともあり、寺族と寺院スタッフだけではイベントを回せない規模になってしまいました。来年以降は実行委員会を立ち上げて川越市の後援を得て、ボランティアスタッフなどを募るようにします。

また、ガンサバイバーの団体からのお声掛けもあり、来年度は当事者の方々とも連携して密度を上げていきたいです。ピンクライトでの啓発や募金だけでなく、他にどういうことで僧侶としてお役に立てるのかを話し合っていければと思います。

啓発はより人の目に触れることが大切ですので、地域の人とより連携してこの活動を広めていきたいです。また、どうしてもピンクリボンは女性のイベントというイメージがあるので、男性にも注目してもらえるようなイベントにします。寺院・僧侶と一般の人々の間にある深い溝のようなものを少しずつ埋めていけるよう精進します。

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まいてら 編集部

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